Cycling Edge 39: 西川口・蕨・さいたま

さいたまの夜騎開封の翌日も周辺を自転車で走った。前日の寒さや雪とは打って変わって青空が広がり、明るく暖かい。前日は先導者に導かれるままに見知らぬ地を彷徨っていたので、この日は時折地図を確認する程度にして、気の向くまま自転車を走らせることにした。まず朝は西川口駅前からシェアリング自転車に乗って蕨(わらび)方面に向かう。

このあたりは西川口チャイナタウンと呼ばれるほど中国人が多く、またワラビスタンと呼ばれるクルド人(トルコなどの山岳民族)も多い。地域によっては日本人より多く住んでいるらしい。確かに駅前を中心に中華料理やケバブ料理のレストラン、そして見慣れぬ商品で溢れた雑貨店や食材店もある。しかし、周辺はマンションや一戸建てが多く、ありふれた日本の住宅街が続く。日曜日だからか、外国人に限らず人に会うこと自体が少ない。

ハッピーケバブ西川口店

のどかで平穏なサイクリングが続く。何故この街を走っているかと自問する。異国情緒を楽しむだけでなく、異民族ゆえのトラブルや抗議デモといった特異な状況に野次馬根性もあった。だが、それは日常ではなく、あてどもなく周辺を走るだけでは何も見えてこない。もちろん、民族紛争や戦争のようなエッジ(最前線)であれば、気楽なサイクリングどころではない。生半可な気持ちは禁物。

次に、さいたま副都心に移動し、クロス・バイクを借りる。アルミ素材のエントリー・モデル。それでもシェアリング自転車に比べれば羽根のように軽快。お昼近くになって暖かさも増す。まるで春のような陽射しのもとに走り出す。駅周辺はいかにも新興都市らしい商業施設が立ち並ぶ。自転車の駐輪場も多く、幅の広い歩道に自転車レーンが設けられているのも好印象。

商業地はすぐに終わって住宅地に移り、さらに田畑が広がるようになる。見沼たんぼサイクリング・コースを参考にしながらも、マップを時々確認する程度にして気ままに走る。何やらデジャ・ブを感じると、実際にも前日のツアーの終着点であった。小さな橋から写真を撮る。ここで数日前にリリースしたばかりのEchoShot Cameraが活躍。オニオン・スキンで画角をバッチリ合わせる。

画角調整中のEchoShot Camera
昨日と同じ画角の風景

ここからは芝川沿いの堤防道路を走る。小さな川なので堤防も可愛らしく快適ながら、橋の下に回り込む急な坂が厄介。枝を払ったメタセイコア並木道はクルマが走るのでそこそこに、見沼代用水沿いの小径に入る。川や水路はどこでも自転車に優しい。早咲の桜が満開の見沼自然公園で小休憩。さらに水路沿いに七里総合公園まで足を延ばす。道幅は狭く路面が荒れていたりするのも一興。

見沼代用水沿いの小径

その後も彷徨いながら帰路につく。自動車道は道幅が狭く交通量もあるので、裏道から裏道へと繋いでいく。住宅地を抜けると広大な田園地帯。映画「翔んで埼玉」(2019)冒頭シーンを思い出す。やがて、どこまでも続く田舎道の果てに新都心の高層ビル群が見えてくる。随分と遠いようで、すぐに辿り着いてしまう。田園と都市とのエッジ(急激な変化)、ダ埼玉のミニチュア版を見事に再現している。

新都心の中心部は多くの人で賑わっている。休日ということもあってファミリー層が多く、のどかで和やかな雰囲気。歩行者や自動車が多いものの、自転車もよく見かける。路上の駐輪場が充実しており、駐輪ビルもある。さいたま市は主要都市のなかで自転車保有率が全国1位らしい。そう言えば、江戸時代に自転車の元祖、陸船車が発明されたのは近くの埼玉県本庄市だった。

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