つくば霞ヶ浦りんりんロード (4) 旧筑波鉄道ライド

バイクロアの翌日は、つくば霞ヶ浦りんりんロード旧筑波鉄道コースを走った。そう、鉄道廃線跡の自転車道だ。かつての非力な蒸気機関車でも無理なく通れるように急なカーブや激しいアップダウンはなく、ゆるやかな直線道路が続いているはずだ。前日に続いて雲ひとつない快晴。早朝の凛とした冷たい空気に春の暖かい陽光が差し込む。JR土浦駅を出発し、桜が咲き始めた郊外へ向かう。

走り出してすぐに感銘を受けたのは、路面や路上の自転車向けの標識(サイン)が整備されていることだ。霞ヶ浦コースもそうであったように、駅前の混み行った一帯でも明解な標識が的確に続いている。ほどなく廃線跡に入れば完全に独立した自転車専用道なので、もはや間違えようがない。それでも自動車道路との交差箇所では安全に配慮した標識がしっかりと配置されている。

そして自転車道路は予想通り走り易く快適な専用道路になっている。路面は滑らかで、見渡す限りまっすぐに彼方の消失点へと続く。傾斜を感じさせないほど勾配は僅か。単調とも思えるほど快適なので、時折現れる緩やかなカーブや路面の僅かな凹凸が良い気分転換になる。余裕を持って自転車がすれ違える広すぎない道幅に、いにしえの蒸気機関車の車体を感じる。

廃線跡だから廃駅跡もある。駅舎は残っていないものの、道より一段と高いホームには、ひさしやベンチがあって休憩ができる。場所によってはトイレも併設されている。駅跡は5〜6kmおきにあるので、程良い走行目標になって休憩のタイミングも取りやすい。ホームの高さが低めなのは、路面の盛り土ゆえだろう。その下にレールや枕木が残っていて欲しい。

中間地点にあたる筑波山口休憩所でストライダの知人と合流。前日シクロクロスの筋肉痛が残っているそうで、ゆっくり目に走行する。前方に見えていた筑波山が右手になり、やがて背後に回る。次第に人家が少なくなり、見晴らしの良い田園を抜ける。終盤は上りの傾斜が大きめになるものの、実際の走行感覚としては僅かにしか感じない。こうして片道約40kmのコースは終点のJR岩瀬駅に至る。

復路は中間地点の筑波山口休憩所で走行を終える。ここからは自転車をそのまま持ち込めるサイクル・バスを利用してJR土浦駅に戻る。サイクル・トレインは増えつつあるものの、サイクル・バスは珍しい。車内での自転車の固定方法は、2台の自転車を乗せられるように工夫されている。このあたりの地域性なのだろうか、自転車道と同じように十分過ぎるほど安全を重視しているようだ。

このように道路標識や専用道路、それにサイクル・バスなど優れた自転車走行環境は、他の地域のベンチマークになるだろう。平日の郊外でありながらサイクリストが多かったことも印象的。惜しむらくはコース周辺に観光名所や絶景スポット、絶品またはB級グルメが少ないこと。初心者向けのコースだけにプラス・アルファがあれば一層魅力的になるに違いない。

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