BMXグラフィティ(3) BMXの種類とスタイル

直径20インチ、そして極めて頑丈なフレームがBMXならではの特徴であり、マウンテンバイクのようなサスペンションや変速機は備えられてないシンプルな作りとなっている。

BMXのルーツは、1960年代後半の米国。子供たちが、自転車でモトクロスをまねたことだとされる。そしてBMXフリースタイルという競技の歴史は1980年代初頭、BMXの大会でレーサーたちが、ジャンプ中に決める“トリック(技)”を披露したことから始まる。1971年に公開された、オートバイ・レースの映画『On Any Sunday』で、自転車を使ってモトクロスレースの真似をして遊ぶ子どもたちの映像が使用されたことも大きな影響力を持ったと言われる。

BMXは、都市環境や反体制的な表現というグラフィティとの共通のルーツを持つことから、ヒップホップ・シーンの一部となり、ストリート・カルチャーと密接に結びついていた。ヒップホップの人気が高まるにつれ、グラフィティやBMXを含むさまざまなサブカルチャーをまとめる力として機能していった背景がある。この文化的交差は徐々に進行し、両者が都市空間を共有し、進化していった結果生まれたものである。

ストリート・カルチャーをまとめたイベントなども昔からある

このようなルーツはアメリカにおけるもので、日本でのBMXの歴史を語るのは難しくアメリカのように、ヒップホップ・シーンの一部とは考えにくい。日本での歴史は、日本で初めて輸入したマツイサイクルの創立50周年動画を見るとわかりやすい。

この動画では、日本のBMXの歴史は、起源はアメリカ同様にレース文化である事がわかる。そこから1982年公開の映画「E.T.」でBMXが重要な小道具として登場したことなども影響し、80年代の日本でも広まったとされている。主人公エリオットとE.T.が空を飛んだ名シーンで乗っていたBMXは、KUWAHARA製という話は有名な話である。

BMXにはコースを走ってタイムを競う「レース」と、技の難易度や完成度、トリックの組み合わせや構成、ジャンプの高さなど総合的に採点が行われる「フリースタイル」の2種類がある。

そして「フリースタイル」は、行われる場所によって特徴があり、大きく3種類にジャンル分けされる。

フラットランド

平坦な地面(フラットランド)で行われるBMXのフリースタイル。足を地面に着かないようバランスをとりつつ様々な技を連続して行う。車輪の左右に装備された合計4本のペグに立ち、ハンドルやシートをさまざまな体制で保持し、タイヤを靴底で擦るなどして、自転車とダンスをしているかのように巧みに乗りこなす。大きなジャンプなどはしないので、全体的に細めなパイプで自転車ができている。次に説明するパークやストリートと比べるとかなりコンパクトだ。非常にテクニカルで、繊細なバランス感覚と高度なバイクコントロールスキルが必要になる。また、フラットランドは創造性と表現力も重視される。ライダーは自分だけの独自のスタイルとトリックを磨き、個性を表現する。

フラットランドの神様と言われるKevin Jones

パーク

主にスケボーパークやBMXパークで行われるBMXのフリースタイル。パークのライディングでは、ランプ、レール、ボックス、ステップ、ハーフパイプなどを利用してジャンプやトリックを行う。フラットランドに比べジャンプが中心になるので、軽さを求めてペグを付けないライダーも多い。

ダニエル・デアーズによるトラックでのパークライド

ストリート

公共のストリートや都市環境で行われる。パークの代わりに手すり、階段、壁、ベンチなど、都市環境に存在する建築物を利用してトリックを行う。

階段であれ駅の構内であれ、手すりは安全を促すものとして設置されている。ところが、ライダーがトリックで飛び乗るやいなや、手すりは不確定性とリスクの場に豹変する。それは都市空間に対する批評と言える。BMXライダーが都市空間とその構造を独自の視点から解釈し、トリックに反映させるという視点は、一般的な都市空間の「通常の」使用方法から逸脱している。ライダーが手すり、階段、壁などをトリックのために使用することで、これらの都市構造物の「通常の」機能や目的が再解釈され、新たな価値が生まれる。これは、都市空間がどのように設計され、使用されるべきか、またはそれが誰にとって利用可能であるべきかという問いを提起する。このような行為は、都市空間とその使用方法に対する新たな視点を提供する。それは都市空間とその使用方法に対する「批評」と言える。

BMXではないが、スケートボーディングにおける都市批評、建築批評については、イアン ボーデンによる、「スケートボーディング、空間、都市―身体と建築」を参照すると良い。イアン ボーデンによる、スケートボーディングの都市批評、建築批評についてはBMXにも多くの共通点がある。これは、双方が同じ同じパークを共有し、同じカルチャーを育んできたからである。

2021年東京オリンピックでの新しい競技種目が注目を浴びた。BMX フリースタイル(パーク&ストリート)がその一つで、その影響は各地で感じられている。各地でパークが建設されており、大会やスクールなども増えている。パークでBMXに乗る子供を見る機会も多い。筆者が通うIAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺でもパークが新設されて子供向けスクールも行われている。

次回は7月21日に公開。筆者が通うIAMAS周辺でのおすすめのBMX専門ショップからBMXパークの紹介をしていく

参照:初心者、BMXを始めたい方必見!! BMXの種類、BMXの選び方!!

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