銀(塩)輪車 番外編⑤ NY自転車観察

今月20日から3日間ほどニューヨークへ行っていたため、今回はNYにて観察してきた現地の自転車事情について紹介していきたい。この連載の本編の内容に関しても、先月の第10回にて少し前進できた感覚を掴むことが出来たが、今回は筆者が旅行中に活動していたマンハッタン・ブルックリンの地区において観察してきた事象を写真と共に振り返っていきたい。

マンハッタン

さて、NYといえばマンハッタン地区を想像する人が多いのではないかと感じるが、実際に行ってみるとたくさんの人が自転車を利用している様子が見られた。マンハッタンでは特に、自転車を移動手段として主に活用している人が多かった印象がある。あまりサイクリングウェアをきている人などはおらず、皆各々の格好でどこかへ急いでいるように自転車を漕いでいた。

大通りをグループで駆け抜けるティーンネイジャー達

自転車に乗っている人々の年齢層などはとてもバラけていて、特定の人々やコミュニティが自転車を活用しているという印象は特に受けなかった。この点に関しては、東京を含めた日本の多くの地域と重なる部分があった。ママチャリ的な使用や、子供が遊びに出かけるため、または若い人やサラリーマンが職場や遊び場に向かうため、という様に様々な人々に自転車は受け入れられていた。

マンハッタンの自転車事情に関して、不便そうだと感じたのは交通状況の悪さである。道路上にはたくさんの車が溢れかえっていることが多い上に、運転の荒い人が多い印象を受けた。実際にバスに乗っていても、周囲の自転車をぶつけてしまうんじゃないかとハラハラするような場面が 何回かあった。ただし、逆にそのような渋滞や交通状況を回避するために自転車に乗っている人も多いということなのだろう。

ブルックリン

さてブルックリン地区の自転車事情に関しては、実際にシェアサイクルを使用したことでより多くのことがわかった。今回使用したのはCiti Bikeという、NYでは道路に出るたびに目にする程普及しているシェアサイクルサービスである。このCiti Bikeの特徴としては、ステーションの数がとても多く、更に各ステーションに常に多くの自転車が利用可能状態となって設置されている。実際に利用している人をとても頻繁に目撃した。

Citi Bikeのステーション

このCiti Bikeの大きな特徴として、大手ライドシェアサービスLyftのアプリを使用して自転車を借りることができることにある。Lyftは旅行客はもちろん、現地のニューヨーカーからも大きな支持を得ているサービスであることから、既にインストール済みで操作も慣れているLyftのアプリを使用できることは大きなメリットと言える。決済情報等も新しく登録する必要がないのも便利である。

Lyftのアプリを使って使用する

筆者(と一緒に旅をしていた友人)は、マンハッタン側のブルックリン・ブリッジの端にあるステーションでCiti Bikeを乗り始め、ブルックリン美術館までの距離を移動した。実際に我々も到着した日からLyftを活用していたので、すんなりとCity Bikeを利用することができた。

ブルックリン地区には、マンハッタンではあまり見かけなかった自転車専用レーンが多く見られた。更にブルックリン・ブリッジとその周辺には、歩道と車用道路からは完全に分離されたサイクリング・ロードもあり、とても走りやすい環境であった。マンハッタンでは見かけることがなかった、サイクリングウェアを着ているようなライダーも多く見かけた。ただし、ひとつ難点があるとすればCiti Bikeの自転車があまり乗り心地が良くないということである。車体が重い上にスピードがあまり出ないため、目的地まで到着するのに時間がかかる上、普通の私服を着ている状態とすぐに暑くなってしまった。

ブルックリン・ブリッジ

さて、今回は簡易的ではあるが筆者がニューヨークに滞在した短い期間のうちに観察できたNY自転車事情について、写真と共に紹介してきた。やはりLAや東京とは異なる自転車事情があり、万国共通とも言えるシンプルな自転車という乗り物にも、その場所や時代によって多種多様な発展の仕方が見られることを再認識した。来月からは、連載の本編の内容に戻りたいと思う。

それでは、また。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA