前回に引き続き、《Light on Earth》の構成検討を行った。
検討の目的は、建築的要素の構成によっていかに光の運動を生成し、5つの窓(ディスプレイ)を通して一貫した体験と興味深い空間表現を提示できるか、である。
今回の試み
現在は5つの窓に投影する空間構成要素を段階的に検討しており、「丸窓」「階段」「スリット壁」「四角窓」「丸柱」といった、荘厳な空間を形成する際にしばしば用いられる建築要素を組み合わせて実験を重ねている。
今回は、神聖さを生み出す建築的手法の検討として、キリスト教会建築におけるバシリカ様式を参照した。身廊と側廊を設け、上部にハイサイドライトを配して、二部屋構造を意識した構成を試みた。
結果と考察
上面のみを開口部とし、ハイサイドライトから差し込む光が空間内に広がる様子を想定したが、期待したほど魅力的な光の効果は得られなかった。床面に光を受け止める要素を設けなかったこと、また側壁からの光を排除したことで、光の複雑性や秩序的な変化が失われ、単調な印象となった。
この検証から得られた知見は以下の通りである。
・入射光を受け止める面に造形物を設けないと、平面的なのっぺりとした空間になる。
・複数の方向から光が入射するように開口部を設けないと、光の色や形の変化が限定的になる。
・入射する光量を抑えるように開口部を設け、部屋間に明暗の対比をつくらないと、光の色が鮮やかに映えない。
今後の方針
今回の検証を通じて、魅力的な光の条件に関する手がかりが得られた。
次回は、複数のスマホで同時撮影を試み、光の構成的関係をより多面的に検証する。
「単調な印象」とのことですが、私は結構ドキドキしました。壮麗なだけでなく、建物に乗って動いている感覚かな。動く建物って存在しないから新鮮。地震体験っぽくもあるけど怖さは感じなかったです。
ご覧いただきありがとうございます。そうなんですね。建築っぽさを濃くする方向で検討を進めてみます。