移動における「確かさ」とは何だろう(2) 直感ライド編

本記事はサイクリングを通して移動における確かさを探る短期連載の第二回目。自らの直感に頼ったサイクリング実践記となる。

前回のAIライドから数日が経ち、振り返りを兼ねて先日のライドとは真逆の下記条件設定を行い、自転車に乗って街へ出た。

  • 行き先を決めない
  • 地図を見ない
  • AIや人に尋ねず自分が面白そうだと思う方向へ直感で進む

筆者はAIと人間を対比対立する二項と捉えてはいないものの、「人間」という存在を再考するに当たって避けることは出来ない比較対象だと考えている。

六月某日。雨が降り出しそうな平日の午後。行き当たりばったりになりそうな不安が脳内を掠めていた。前回のライドでは北側の方向へ直進してスタートしたため、今回はソフトピアジャパンを起点に南側へ進んだ。何度か通ったことのある道や、はじめましての道をぶらぶらライドして10分。

年月を感じる家屋が連なる住宅街へ迷い込むと、ハイコンテクストな現代アートの作品を想起させるような不思議な石を発見。

石の傍で車輪の回転を止める。

家々の切れ間に教会のような建物が見えたので、迷いながら住宅街を抜けて近くへ。民家に囲まれているキリスト教建築は、案内によると結婚式場のようだった。中々見応えがある。

近くの国道へ移動して更に真っ直ぐ走る。自転車で移動していたため、立ち寄ることが出来なかったが、ラーメン屋にて大好きなビールがなんと100円。ラーメンも美味しそうだった。

蛍光色で一際目立つ建物があったので近づいてみたらクリーニング屋さんの本社兼工場だった。建物から良い味が出ている。

雨が強まってきたので先へ進むことを諦め、スタート地点のソフトピアジャパンへ戻った。観光地や歴史的な建造物を見たわけではないが、普段目に付かないものが目につき、図らずも日常から外れていくような感覚を得た。

思うに、今回ライドをしたのは、移動と共に選択が無数に条件分岐する中で、選び取った唯一無二のルートだ。
どこかの道を一本先送りしたり、あるいは実際に曲がった地点の手前で右左折をしたら、全く違う風景を横切ったかもしれないと思うと、偶然が織りなす体験に面白さを感じる。また、その時の気分や信号の青赤との兼ね合いでルートを決定したため、完全に同様の道のりを再現することが不可能であるという点も興味深い。

AIライドから続く2回目のライドでは、移動における「偶然」という新しいTipsを収穫することが出来た。よくよく思い返してみると、GoogleMap上やInstagramで見つけた場所にルート案内に沿って行くのも楽しいが、旅先でフラッと見かけて立ち寄る喫茶店や寺院などに味わいを感じたことがこれまでの人生において沢山あった気がする。

次回は、本記事とAIライドでの学びを踏まえ、ChatGPTに「偶然」を生成してもらうことによる移動を考察していく。お楽しみに。

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