奈良県宇陀市室生村周辺での輪行サイクリングについて紹介する。今回の目的地は、ダニ・カラヴァンの野外彫刻作品のある、室生山上公園芸術の森である。今回は、最寄り駅の室生口大野駅まで電車で輪行した。参考までに大垣からの乗り換えについて記載しておく。特急を使って片道2時間半ほどで、交通費は4000円弱。
大垣⇒名古屋(JR東海道本線)
名古屋⇒名張(近鉄名古屋線特急)
名張⇒室生口大野(近鉄大阪線)
ダニ・カラヴァンは、イスラエル出身の彫刻家であり。環境芸術の先駆者として、地域の環境や歴史に結びついた大規模な作品を制作してきた。同作品も、奥行き500mほどの広大なスペースを使って表現がされている。
この日は、室生口大野駅からスタートし目的地へ、室生川沿いにつづら折りの緩やかな上りが続く。作品を堪能したあと、周辺散策を兼ねて室生古道という旧道を通って、室生口大野駅の隣駅である、榛原駅に到着してゴールとなった。一帯は交通量が少なく、自転車で快適に走れるのでポイントが高い。
特に室生古道は、怪しくも魅力的なルートだったので、余裕のあるサイクリストにはおすすめだ。害獣対策のゲートをくぐり、勾配のきつい坂を通ることになるが、登りきったあとに絶景と長い下り坂というご褒美があるので、是非挑戦してもらいたい。
後日、作品集に収録されたカラヴァンのエッセイを読んだ。彼は自作の制作プロセスについてこう語っている。
最初は現地を見なければならない。丹念に調べ、測量し、記録し、考え、迷い、試み、分析しなければならない。あらゆる可能性を分析しなければならない。
『ダニ・カラヴァン 大地との共鳴/環境との対話』朝日新聞社
この文章を読んだとき、《螺旋の水路》の中にあるクネクネと掘られた水路は、駅から公園までのつづら折りのオマージュなのではないかと思えた。自分の勝手な推測であるし、カラヴァンの語る「現地」を意味するのが、周辺の広範囲を含むものかどうかは分からない。しかし、周辺を散策し、似た風景を目撃した私には、カラヴァンがあの上り坂を登っている姿が見えた気がしたのだ。