この半年ほどNetflixを見るようになった。よくもわるくも世界中で番組を制作して配信している面白さ、過剰さ、雑さ、番組っぽさと動画っぽさが入り交じる。ここ数日、というか、一気見してしまったのだが……、「タコスのすべて」(Las cronicas del taco)だ。
10年以上前になるが、メキシコの大学に詩の朗読で呼ばれた際、なんとも心地のいい街で食べたタコスはたしかに美味かった。しかしこれが、シーズン2にも渡る(まだ続きそう)番組になっていて驚く。と同時に、なんだかメキシコの政治も経済もアンバランスなこの国で、とにかくパワフルな文化シーンとしてタコスなのだ。たった1回きりのメキシコ体験を振り返りつつ、僕は素朴に良い記憶しかないし、10年前とも変わっているに違いないが、このドキュメンタリーは、オクタビオ・パスと共におすすめだ。あくまで自転車に注目する(できてるのか?)この連載で、詳細は省くけど、メキシコのソウルを楽しんでもらいたい。
で、マーケットにある仮店舗であったり、路面店が多い中、番組のエピソード。
自転車で販売する「Lady Tacos de Canasta」。彼女は、ある動画でバズったらしい。そして彼女は自転車でタコスを販売している。そして次のようなコメントをする(Netflixの字幕から)。
自転車は風を感じ自由になれる特別な乗り物だ
すごく楽しいよ
自転車をこぐのが大好きだ
仕事や運動外出の際にも使う
私にとっては完璧な乗り物だ
乗るとすべてを誇りに思える
家族や両親 祖父母……
私を愛してくれる人々さ
彼らの支えがあったから今の私があるんだ
自由の表象としての自転車とタコスを見た。