自転車と放蕩娘 (25) 新型グループ・ライド 2021 Summerから見えてきたこと

去る7月23日、新型グループ・ライド 2021 Summerに参加した。最初にオンラインでのグループ・ライドが行われた昨年の夏に比べると、どことなく空気が違って感じられた。照りつける陽射しをものともせず、自噴水を汲みに集まる人々や、サイクリストたちとすれ違ったのが印象的だったからかもしれない。

自噴井で知られる、加賀野八幡神社

私が訪ねたのは、加賀野八幡神社結神社とステンシルアート(放課後児童クラブ結の郷)の3箇所のみ。ツール・ド・西美濃2021のコースの一部だ。今年のツール・ド・西美濃は21日から2ヶ月間、モバイル・アプリでチェックポイントを巡る形式で行われ、分散的なライドの試みとして注目される。レースではないことも後押ししてか、女性2人組や親子でサイクリングを楽しむ人たちを何組か見かけた。私もロードバイクに乗り、どう見ても同じ目的のサイクリストそのものの出で立ちだったので、すれ違いざまに軽く挨拶を交わすこともあった。

街で見かけたサイクリストたち

そんな様子を尻目に、オンラインのグループ・ライドに参加してみて、やはり昨年の夏とは変化を感じた。昨年は、目の前の景色を見ながらもオンラインのコミュニケーションに集中しながらのライドだった。そのため、他の場所で同時に走っている参加者の走りを追体験するような感覚があった。一方、今年ははからずも対面・オンラインのハイブリッドでコミュニケーションが起きたことにより、分裂的な感覚を味わうことになったのだ。周囲の環境がいつの間にか変化していたことに気づかされたということでもある。

旧揖斐川橋梁の上で

いずれ新型コロナウイルス感染症の影響が収まった時、オンラインでのライドは行われなくなるのかもしれない。だが、もしそうだとしても、オンライン・グループ・ライドは間違いなく興味深い体験として記憶に残るだろう。というのも、私の場合、初めてのライドでお互いのやり方を探りあったり、ライドの盛り上がりと並行するかのように会話が温まっていった感覚が忘れられないからだ。その前提として、各自がバラバラな個人として参加しているという感覚が鍵になる。かろうじてつながったと思えた瞬間だけでなく、参加者が時間を共にする中で持続した独特のグルーヴ感のような感覚が、他にはない体験として印象的だった。新しいメディアが機能する時、そこに関わる人々の関係性が変わる。私にとってはそれこそが、オンライン・グループ・ライドの醍醐味として記憶されている。

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