5月上旬から末日にかけて、3週間ほどエジプトに滞在した。その大半を首都カイロで過ごしたのだが、最高気温が42度に達する日もあり、街全体が暑さに霞んで見えた。聞くところによれば、エジプトの本格的な夏は6月から8月にかけて訪れ、さらに厳しい暑さになるという。考えるだけでも恐ろしい。
ほとんど雨が降らず、ナイル川流域以外では人の居住が難しいこの国では、住みやすい地域に人口が集中する傾向がある。首都カイロにはおよそ1,000万人が暮らしており、これはエジプトの全人口の約10%にあたるという。
そうした理由から、交通はやはりカオスで車道に自動車が溢れ、常にクラクションの音が騒々しく鳴り響く。僅かだが自転車も走っているが、移動や娯楽を目的としているというよりも、労働の道具として自転車を活用しているように見受けるケースが多い。

一番よく見かける巨大な前カゴ付き自転車。市場や商いをしている人が多く集まる地域で何度か沢山の荷を積んで通り過ぎていった。

荷物を持ち上げ自転車で運搬する人。こちらも市場の近くなどで時々見かける。驚異のバランス感覚である。

エジプトでもUber Eatsのような食事配達サービスが普及している。若者が街のカオスを潜り抜けて依頼者の食事を運ぶ。

十分に装飾されたオシャレ自転車。ユニークな遊び心が光る。時々スポーツ用の自転車など、仕事以外で使われている自転車を見かけることもあるがその数は多くない。

カイロは圧倒的な車社会だが、レンタサイクル事業が一応存在している。Cairo Bikeという事業名で、カイロ市が提供する公共のシェアサイクルサービスである。
専用のアプリをiPhoneにダウンロードし、クレジットカードを登録。自転車に付けられているQRコードをアプリで読み取るとレンタルが開始し、日本同様ユーザーが好きなサイクルステーションで返却することができる。料金は利用時に2エジプトポンド、45分あたり8エジプトポンドほどで、2025年6月現在、1エジプトポンドが約3円なので、30円ほどで気軽に乗れる。
カイロ市内にはバス網とメトロがあり、それぞれ1回あたりの運賃が10エジプトポンドくらいなので、納得の値段と言える。
観光もひと段落ついたので実際にレンタサイクルに乗ってみた。
はじめから分かっていたことだが、快適とは言い難く、不注意でブレーキが壊れた自転車をレンタルしてしまった(※残念ながら丁寧に整備されておらず全体的に破損が多い)上に、暑さと交通量の多さと慣れない交通ルールに苦しんだ。スリルを感じるという意味では最高の自転車体験だったかもしれない。
動画を撮影した後も滞在中にCairo Bikeに乗り続け、アプリの履歴を確認したところ合計6回も利用したみたいだが、遂に一度もしっかりと整備された自転車に乗ることは出来ず、安全を鑑みて滞在の後半は自転車に乗らず炎天下の街を歩き続けた。
カイロで自転車に乗る際はどうぞご安全に。
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