人類学者ティム・インゴルドは、「物質(素材)と想像力(作り手)との相互作用による応答」が、対象を観察をする上で大切にすべきことであると主張している。ただ漫然と見て記録するのではなく、人が身の回りにある素材に対して真剣に
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クリティカル・サイクリング
人類学者ティム・インゴルドは、「物質(素材)と想像力(作り手)との相互作用による応答」が、対象を観察をする上で大切にすべきことであると主張している。ただ漫然と見て記録するのではなく、人が身の回りにある素材に対して真剣に
Read more自宅勤務が続くと、いつも以上に五感が四季の変化を求めるようだ。湿度を含んだ風に乗って運ばれてくる麦の香りや、蛙の鳴き始める時間を知ったのも、大垣へ来て5年目で初めての経験だ。そんな折にふと思い出したのが、あずまきよひこの
Read more自転車漫画「のりりん」の第1話では、自動車が趣味である主人公が、自転車に乗っている人が嫌いである理由を告白している。その理由のいくつかをセリフから抜き出すと 「スポーツだか移動手段だかはっきりしない」 「非日常を無理やり
Read more5月 自然と共にロードバイクで走る人を自転車家と名付けて、一年を通じた道路上での自転車家の姿書き綴ってきた。その一年間をペダリングに例えるならば、今日はクランクの上死点だ。 自転車を漕いでいるときにペダルに乗った足が一
Read more2020年4月19日 フィールドノート 前日の夜に降った雨は朝方には降り止んでいた。路面はまだ乾いていないので、空気はひんやりとしているが体感気温は低くはない。クロモリフレームのロードバイクを部屋から出し、出発前に空気圧
Read more11月 自転車家には2種類だけが存在する。紅葉を見届けるためにサイクリングに出向いて、自分の愛車と赤や黄色に染まった樹々との記念写真を撮り終えると春になるまでの休息に入るか、防寒のためにウェアや用具を買い足し、真冬の風に
Read more自転車家たちがよく使うジョークとして「フレームからパーツが生えてきた」というフレーズがある。多くの場合それは「知らない間にあなたの自転車には変化が起こっているようだ、そのための原資はどこからきたのか」という趣旨で隣人から
Read more気候と共に歩む自転車家にとって「8月は夏」というのは暦の上でのことだ。今我々がつかっている暦もあれば、今は使われていない昔の暦もある。様々な暦が世界中で作られて使われてきたが、それらはすべて周期(サイクル)をもった何らか
Read more7月 7月にもなると、これまでの季節に自転車に乗っていたことの積み重ねによって、自転車家の身体が自転車に乗るために耕され、しなやかになり、いろいろな部分がいい感じになってきている頃である。いい感じとはどういうことかという
Read moreカーボンは極めて軽量で振動吸収性のある素材なので、ロード・バイクを中心に人気が高い。ただし、衝撃には弱く、事故や落車などがあれば損傷を受けやすい。しかも、目視や触診ができる傷ではなく、素材の内部に歪が生じることも多い。こ
Read more6月 近年、梅雨入りや梅雨明けというステートメント(声明)が、何を指し示しているのかが判然としない。「梅雨入りしました」と聞いても雨の日が続くというわけでもなく、夏真っ盛りのような青空と暑い気温に加え高い湿度と落差の激し
Read moreロード・バイクに乗り始めて遭遇する最大の苦痛はお尻の痛みだろう。地面からの振動が骨盤、股、尻を痛みつける。綺麗な舗装道路であっても常に細かな振動があるし、ロング・ライドともなると痛みが累積して自転車を乗り捨てたくなるほど
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