人類学者ティム・インゴルドは、「物質(素材)と想像力(作り手)との相互作用による応答」が、対象を観察をする上で大切にすべきことであると主張している。ただ漫然と見て記録するのではなく、人が身の回りにある素材に対して真剣に
Read more[車輪の言葉、車輪の数] 2分の1
真夏のサイクリング中、ロードのほど近くを流れる川に頭まで浸かって、汗を流して体温を下げ、生きかえったような心地でまたペダルを回し始めることがある。近年の夏は大変暑いので、川に浸かりに行くためにサイクリングに出かけるような
Read more[車輪の言葉、車輪の数] 32ノッチ
車輪は古来から修繕して使用するもので、破損した箇所があったら取り替えて使っていた。 日本の平城京平安京の時代でも、車輪を購入した公式な記録が残されており、そこには車輪一式に加えて、取り替えや修繕のための部材も一緒に調達し
Read more[車輪の言葉、車輪の数] “21” について
2020年5月21日、薄曇りの天気の下、京都市南区東九条南石田町にある「竹田工務店」の前にやってきた。 この日の目的は、ある調査を行うために、実際の作業が行われている現場に行き、作業状態の確認を行うことである。その調査の
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 5月(後編)
自転車漫画「のりりん」の第1話では、自動車が趣味である主人公が、自転車に乗っている人が嫌いである理由を告白している。その理由のいくつかをセリフから抜き出すと 「スポーツだか移動手段だかはっきりしない」 「非日常を無理やり
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 5月(前編)
5月 自然と共にロードバイクで走る人を自転車家と名付けて、一年を通じた道路上での自転車家の姿書き綴ってきた。その一年間をペダリングに例えるならば、今日はクランクの上死点だ。 自転車を漕いでいるときにペダルに乗った足が一
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 4月
2020年4月19日 フィールドノート 前日の夜に降った雨は朝方には降り止んでいた。路面はまだ乾いていないので、空気はひんやりとしているが体感気温は低くはない。クロモリフレームのロードバイクを部屋から出し、出発前に空気圧
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 3月
3月 彼岸にあたる3月は冬から春に季節が移り変わる。自転車家の「彼岸」とは、ごくごく素朴なことでしかない。自転車に乗るか、乗らないか、だ。 実は、自転車家になるには特別難しい段取りなどはない。春の陽気に誘われて自転車に乗
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 2月
2月 自転車家は寒がりだ。正しく言い直すならば、自転車家は寒くて嫌だと思うことを素直に嫌だと認めて、イヤだと言いがちだ。自転車家には寒波に耐える強靭な肉体とか精神が備わっているとは限らない。 1年の周期の中では、この時期
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 1月
1996年、私は引っ越しの荷物を乗せた父親の自動車の助手席に座って、京都への道のりを進んでいた。しかし、この時に車窓から見た風景をほとんど覚えていないのだ。 この時に通ったルートは「有馬道」と呼ばれている。風景を覚えてい
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 12月
シングルスピードの文化は、アメリカ・ニューヨークのメッセンジャー達が配達のために使用していた競技用自転車(これらは競技場の呼称から「ピスト」とも呼ばれていた)に着火点があると言われている。「もともと自転車には変速ギアはな
Read more[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 11月
11月 自転車家には2種類だけが存在する。紅葉を見届けるためにサイクリングに出向いて、自分の愛車と赤や黄色に染まった樹々との記念写真を撮り終えると春になるまでの休息に入るか、防寒のためにウェアや用具を買い足し、真冬の風に
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