ある日、自転車に乗って交差点の信号待ちをしていたところ、少し離れた場所からこちらを見ている男性が軽く会釈のようなしぐさをしたかと思うと、ゆっくりと私のほうへ向かって歩み寄ってきた。 「時々見かけるんですけどね、このラジア
Read more百年以上前に自転車キャンプツーリングを確立したトーマス・ホールディングが気になる
合理的思考の可能な自転車ユーザーがツーリングの際にわざわざキャンプをする理由といえば、経済的に困っているか、野蛮な気質が多く残り過ぎているかである。合理的に言えば、いずれについても恥じる必要はない。 トーマス・ハイラム・
Read moreトーマス・スティーブンスの自転車世界一周冒険譚
自転車乗りなら自転車で世界一周を一度は夢見るかもしれない。だが実際には困難極まりない。時間、費用、体力、気力、いずれも途方もないからだ。そんな偉業を世界で初めて成し遂げたのが、イギリスのトーマス・スティーブンス(Thom
Read more[車輪の言葉、車輪の数] “21” について
2020年5月21日、薄曇りの天気の下、京都市南区東九条南石田町にある「竹田工務店」の前にやってきた。 この日の目的は、ある調査を行うために、実際の作業が行われている現場に行き、作業状態の確認を行うことである。その調査の
Read moreドライジーネに乗るシューベルト
1818年に描かれた水彩画がある。左側の太った紳士は歌曲王とも呼ばれた作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert)、望遠鏡のような万華鏡を覗き込んで悦に入っている。そこへ青年が自転車の元祖であるドライジー
Read more[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (最終回)
2010年前後から、シェア自転車は世界の大都市に広まった。環境対策として、公共交通に自転車を使う試みが、一気に花開いたのである。 この爆発的な広がりは、自転車のあらゆる面に大きな変化をもたらした。 それは、1970~80
Read more[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (13)
シェア自転車は世界に広がり、遅ればせながら日本でも定着しつつある……。 一口にシェア自転車といっても、国情や発展形態により、大別すれば世界に4通りのタイプがある。主な違いは、ポート(駐輪場)と操作システムにある。 A.「
Read more[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (12)
2016年前後、大小さまざまの企業や自治体が、シェア自転車事業に参入した。欧米や中国のように大掛かりではなかったが、小規模拠点が全国に広がった。それは市民の新しい足、また新時代のシェアリングエコノミーとして、世間の注目を
Read more[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (11)
2007年パリのヴェリブ出現は、自転車史において、時代を画する歴史的な出来事であった。 ヴェリブを契機に、都市公共交通に大量の共用自転車を使う試みが、世界の大都市に一斉に広がった。 日本では、それ以前から、政府主導のもと
Read moreケン・ラッセルが描くエルガーと自転車
19世紀から20世紀にかけて音楽界きっての自転車好きは、イギリスの作曲家エドワード・エルガー(Edward Elgar)だろう。いわゆるクラシック音楽では目立たないイギリス勢だが、エルガーの行進曲「威風堂々」や「エニグマ
Read more[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (10)
自転車の2大用途は実用とレジャー用である。同様にレンタサイクルでも、都市の近距離交通と、観光地の遊びに使われている……。 ━1997年京都議定書が策定された。排ガスを出さない自転車がクローズアップされ、公共交通で共用する
Read more[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (9)
2007年パリで生まれたヴェリブ式と、15年北京で始まった中国式の2つのタイプのシェア自転車は、世界の大都市に普及。市民の足として定着した。 両者の違いは、駐輪場の有り無し、カードかスマホ決済、官営か民営である。両者には
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