ベルナルド・ベルトルッチとキャメラマンのヴィットリオ・ストラーロが本格的に組んだ最初の作品が『暗殺のオペラ』(1970年)である。ボルヘスの短編『裏切り者と英雄のテーマ』を原作に翻案されたこの映画で、主人公は街で借りた自
Read moreドライジーネに乗るシューベルト
1818年に描かれた水彩画がある。左側の太った紳士は歌曲王とも呼ばれた作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert)、望遠鏡のような万華鏡を覗き込んで悦に入っている。そこへ青年が自転車の元祖であるドライジー
Read more和歌山の国道トンネルで自転車事故
2019年末に和歌山県内の国道42号線をロード・バイクで走行していたところ、由良トンネルの出口近くで後ろから来た軽トラックに追突され、転倒して負傷した。すぐさま救急車が駆けつけ、近くの病院に搬送されて入院。筆者はこの間の
Read more自転車に「乗る」ためのレッスン 第11回 自転車を拾い二人乗りする
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2004年)は、説明的な邦題どおり、第二次世界大戦末期のベルリン市街戦を舞台に、ヒトラーの最後を描いた作品だ。この作品には原作として、歴史家であるヨアヒ
Read more自転車と放蕩娘 (7) サイクリングがもたらす公共圏
私にとってクリティカル・サイクリングは、サイクリングを共通言語に、ユーザーの視点から新たな表現者像を考えるための起点となっている。サイクリングを通じて感じ、考え、つくり、批評し、提案し、楽しみを享受する点では皆等しくユー
Read moreさあ帰ろう、ペダルをこいで(ディープ・ラーニングで)
2008年のブルガリア映画「さあ帰ろう、ペダルをこいで」は、交通事故で記憶喪失になった青年が祖父とともにタンデム(二人乗り)自転車で故郷へ向かう物語。ほのぼのとしたタイトルやスチル写真、そして「世界各国の人々の心に大きな
Read more自転車に「乗る」ためのレッスン 第10回 ぼんやりと映像から自転車を探す
毎度のことだが、前回苦しまぎれで『孤独のグルメ』からある1話を抜き出して、なんとか原稿を書いた。すると赤松正行より「80話のうち1話だけとのことですが、今回の記事のために見直したのですか? それとも記憶力抜群とか?」とい
Read more自転車と放蕩娘 (6) 「磯崎新の謎」展と大分輪行
女性と自転車という切り口で連載を始めて、6回目。そのきっかけとして挙げたのは、ロードバイクで出かける時に感じる個人と集団の絶妙なバランスだ。郊外を走る非日常の体験は、ジェンダーよりも自身が個であることを意識させ、ほどよい
Read moreディープ・ラーニングで映画から自転車を探す
松井茂は自転車映画ではない映画から自転車を探り出す。最近の記事ではテレビドラマ『孤独のグルメ』を取り上げており、約80話のうち主人公が自転車に乗るのは1話のみと言うのだから感心する。それでは、ある映画に自転車が登場するの
Read more真鍋博の自転車賛歌
星新一の小説の挿画や装丁で有名なイラストレーター真鍋博は、1973年に「自転車賛歌」なる書籍を刊行している。重化学工業を中心とした高度経済成長が限界を迎え、人口集中や公害による環境破壊が深刻化した時代にあって、彼のイラス
Read more自転車に「乗る」ためのレッスン 第9回 グルメと自転車と孤独
『孤独のグルメ』というテレビドラマがある。2012年にSeason1がはじまり、現在Season8が放送中。輸入雑貨商の井之頭五郎(松重豊)が、ひとりでご飯を食べるという、それだけのドラマだ。ご飯を食べる店はもちろん実在
Read more自転車と放蕩娘 (5) 香山リカ『自転車旅行主義』
タイトルから旅行記を想像すると、軽く期待を裏切られるのが本書の醍醐味ではないだろうか。日常を分裂的に旅する、80年代文化論。クリスチャン・ラクロワの香水やYMO、ブルーハーツの音楽に紛れた通奏低音は「可能世界意味論」だ。
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