バランスからだ自転車の試乗車紹介

昨年養老アート・ピクニックの「バイク・ハック」では、4台の多輪自転車の試乗を行った。これに対して、今年は「バランスからだ自転車」と題して、身体感覚を問い直す観点から7台の自転車を用意した。もちろん、芝生や舗装された小道で試乗できる。独自に設計した自転車が2台、機構を改造した自転車が3台、そして手を加えていない特殊自転車が2台というラインナップを紹介しよう。

新製陸舟奔車2017
sy, 2017
新製陸舟奔車は、江戸時代に実在した、自転車の原型とも言える乗り物である。西洋で作られた、最初の自転車と認められているドライジーネよりも100年ほど前に制作され、しかもドライジーネにはまだ使用されていなかった、ペダルやクランクが使用されていた。その先進的な機構と形に感銘を受け、現代の材料を用いてリメイクしたのが、新製陸舟奔車2017である。

新製陸舟奔車2017

Human-Framed Cycle 5th
sy, 2018
右脚の後ろ側の筋肉を使って自走し、車体を傾けたり、ワイヤーを引っ張ることでカーブする。そして、鏡を見ながら後方に進む、という特殊な形の自転車。この作品は、普段使わない身体の使い方をし、日常的な身体感覚から離れる体験をするため制作された。この制作のため、作者は自らの身体を様々なパーツに乗せながら、徐々に構造を起こして行く、といった手法を用いた。

Human-Framed Cycle 5th

逆さま自転車
赤松正行+Shin・服部製作所, 2018
特別なメカニズムにより、ハンドルを回す方向と曲がる方向が逆になった「逆さまハンドル」の自転車。乗りこなすのは極めて難しいが、何日か練習を続けると乗れるようになる(らしい)。ただし、その頃には普通の自転車には乗れなくなる(はず)。同様の試みは従来からあるが、普通のハンドルに戻せるのは珍しい。赤松正行の構想をもとに、気鋭のフレーム・ビルダーShin・服部製作所が考案、製作した。

逆さま自転車

逆さまトライク
赤松正行+XYZ Cargo, 2018
ハンドルも逆さまなら、ペダルも逆さまである改造カーゴ・トライク。三輪のため転倒しないが、その乗車感覚は混乱するとともに愉快ですらある。自転車自体はコペンハーゲンより輸入し、国内初登場となった昨年の養老アート・ピクニックでは高い人気を博した。このハンドルとペダルの機構を赤松正行が改造して逆回転化した。標準的なアルミのパイプで構成されているので、改造は比較的容易であった。

逆さまトライク(原型のXYZ Cargo Trike)

連結自転車
赤松正行+sy+MINOURA, 2018
特別な連結バーによって自転車を連結し、乗り手が呼吸を合わせて乗りこなす自転車。今回はロンドン製の折り畳み小径車Bromptonを2台を用いるが、異なる種類の自転車を何台でも連結できるようになっている。赤松正行とsyが試作した機構を元に、サイクル・トレーナーなどで有名なMINOURA(株式会社 箕浦)が全面的に協力して、汎用性と安全性が高い連結バー・ユニット(非売品)が完成した。

BromptonとDahonを連結した連結自転車

BellCycle(ベルサイクル)
Labs Bell, 2018
BellCycleは、昔のオーディナリー(だるま自転車)を連想させる前輪駆動の自転車で、前輪上部のサドルに腰掛ける独特の乗車スタイルを取る。オープンソースのモジュラー形式で、カーゴを付けたり、三輪車にしたり、自由に改造可能。シンプルな印象を受けるが、驚くほど凝った構造は自転車の常識を打ち破る。クラウドファンディグで資金調達を行い、つい先日ニューヨークから届いたばかり。日本初公開。

BellCycle(公式サイトより)

Halfbike (ハーフバイク)
Kolelinia, 2015
Halfbikeは、その名の通り、一般的な自転車の半分の大きさで、立ち漕ぎで進む独特な形状の自転車。三輪車であるが安定性はなく、ペダルを漕ぐと倒れそうになる。一輪車やスケードボードの感覚に近く、本能を目覚めさせる乗り物とも呼ばれる。ブルガリアの自転車スタートアップがクラウドファンディグを成功させ、現在では全世界に向けて販売している。昨年の養老アート・ピクニックでも大人気であった。

Halfbike(子供も乗車可能)

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