アメリカの自転車フレンドリー州ランキング

アメリカ合衆国で最も自転車フレンドリーであるのはオレゴン州、中でもポートランドだと思っていた。何人かのアメリカ人に尋ねると誰もがそう答えたし、サードウェーブに代表されるシャレオツ文化と自転車は関連深い印象があったからだ。では、2番目に自転車に優しい州は?3番目は?オレゴン出身の知人もすぐには思いつかない。そこで資料を探してくれたところ、そこには衝撃の事実があった。

これは「2015 BICYCLE FRIENDLY STATE℠ RANKING」で、アメリカ50州の各交通局に対して行った調査の結果だ。これによれば、ナンバー・ワンはワシントン州で、次いで2位ミネソタ州、3位デラウェア州、4位マサチューセッツ州、5位ユタ州と続く。そして、その次の6位がオレゴン州だ。この結果に知人も衝撃を受けていた。故郷は最高の自転車の聖地だと思っていたのだから。

アメリカに数回訪れただけの筆者にとっても、これは理解しにくいランキングだ。ワシントン州はシアトル、マサチューセッツ州はボストンとして、多少の印象があるものの、他のミネソタ州、デラウェア州、ユタ州ともなれば、まるでイメージが湧かない。もちろん、州全体での評価となれば、その都市部だけでなく郊外や山野も評価対象となるので、門外漢の想像は遠く及ばない。

このランキングで色分けした地図も提供されている。濃い水色が上位10州で、西部と北東部に多いことが分かる。西海岸と東北部は民主党支持でリベラルな自由主義で、ランキング上位と重なる州が多い。これをもって自由の象徴としての自転車を関連付けるのは無謀だろうか。一方、共和党支持でキリスト教的保守主義の中央部はランキング下位だが、ユタ州とコロラド州はその限りでない。

同じランキングの2008年から2014年までの推移を見れば、ワシントン州は不動の1位であり、評価ポイントも他を引き離している。よほどの筋金入りの自転車フレンドリー地域なのだろう。これは現地調査に行きたくなる。上位の顔ぶれは大きく変動しないものの、デラウェア州が31位から3位へと躍進しているのが目につく。オレゴン州は3〜8位で、ナンバー・ワンは幻想だったようだ。

なお、このランキングはThe League of American Bicyclistsによるもの。この組織は1880年に創立されたNPOで、アメリカで最も多くのサイクリスト会員を擁すると言う。また、ランキングの元となった詳細な基礎資料は、Alliance for Biking and WalkingBenchmarking Reportによっている。このPDF版は無償でダウンロードでき、すでに2016年版が公開されている。

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