現代美術における自転車は、デュシャンの「自転車の車輪」(1913)に始まり、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の「雄牛の頭部」(Bull’s Head/Tête de taureau, 1942)に続く。だが、これのどこが自転車かと思うかもしれない。アフリカ彫刻に多大な影響を受けたピカソらしい素朴な作品に見える。しかし、よく見て欲しい。これは自転車のサドルとハンドルだ。まさにブルホーンバー(雄牛の角のバー)だ。
ピカソによれば、ガラクタの山の中に古い自転車のサドルがあり、その横に錆びたハンドルバーがあったと言う。それらを見て瞬時に閃いて作ったのが、この作品らしい。そして、これが雄牛の頭しか見えないとしたら、この彫刻はインパクトを欠くことになる、とピカソは言う(Wikipedia)。これぞファウンド・オブジェであり、見立てであり、出会わぬはずの出会いだ。
さて、デュシャンのレディ・メイドを引き継いたピカソに敬意を表して、このパロディを作ってみよう。ロード・バイクやマウンテン・バイクなら、簡単にサドルを外すことができる。これをハンドルバーの中央に載せれば完成だ。フレームまでは大変だが、可能なら前輪を外すと良いだろう。このような「我が雄牛の頭部」を掲載したいので、ぜひ写真に撮って送って欲しい。