アーネムとナイメーヘンを結ぶ高速自転車道路RijnWaalpad

オランダ東部の地方都市アーネム(Arnhem)とナイメーヘン(Nijmegen)は、両市を結ぶ高速自転車専用道路RijnWaalpadを2015年に開設している。敷設距離は17.7kmで、ほぼ完全な対面通行の自転車専用道路だ。筆者は国際会議Velo-City 2017参加のため、ナイメーヘンを訪れた。その際に平日のお昼前にRijnWaalpadを自転車で走り、タイムラプス撮影したビデオが以下だ。

このビデオではアーネムの郊外からRijnWaalpadに沿ってナイメーヘンの市街中心部までを走行している。諸般の事情で、アーネムの市街地部、RijnWaalpadの経路としては2割程度が含まれていない。ナイメーヘンからアーネムに至る逆順のビデオとしては、Bicycle Dutchが制作した10倍速版が公開されている。リアルタイム版もあるが、振動ブレが激しいので注意されたい。

これらのビデオで分かるように、RijnWaalpadは幅数メートルの自転車専用道路で、全線街灯付き。何百メートルもの直線道路が続き、地平線へと駆け向かう。時折のカーブや立体交差のトンネルが適度な変化をもたらす。僅かだが、自動車道路を横切り、自動車や歩行者と道を共有する箇所もある。ただ、交通量は少ないので危険性はない。完璧すぎない道路設計として、このようなユルさはアリだと許容できる。

路線の大半は草原または住宅地で、コンビニなどはないが、自販機を備えた休憩所が建設中だった。高品質のアスファルトで舗装された路面は極めて良好で、ひたすら気持ちよく自転車を走らせることができる。自動車に比べれば何十分の1しかない軽量の自転車ゆえに、路面の維持コストは少なくて済むのだろう。そして、ビデオの終盤で市街地に入ると、交通量の多さと交差点の煩雑さに閉口する。

RijnWaalpadは、この地域の高速自転車ネットワークのひとつだ。3ルートが既に開通している他、6ルートが現在建設中で一部開通しており、5ルートが検討中と言う。他の一般道も自転車レーンが完備。人口としてはアーネムは14万人、ナイメーヘンは16万人に過ぎないが、かくも充実した状況だ。多少の違いはあるにしても、オランダ全土が同様に自転車化されているのだから、驚嘆する他はない。

ところで、オランダ語に馴染みがないこともあって、RijnWaalpadが呪文めいて読みにくい。RijinはアーネムのRijnkade、WaalはナイメーヘンのWaalkadeという道路の両端の地名に由来する。kadeは岸辺、padは小径の意味だ。これではジモティ以外は理解できない。いや、東名高速道路なども同じ命名法だ。つまり、これは観光名所などではなく、生活道路だ。だから、ジモティ志向が当然なのだろう。

ただ、ネーミングはロンドンを見習うべきだろう。東京に比べればロンドンの自転車道は100倍素晴らしいが、そのロンドンより100倍素晴らしいのがアーネム=ナイメーヘンだ。一方、ロンドンはCycle Super Highwayというキャッチーな名称で自転車施策を100倍魅力的にしている。同様に、この地域の魅力をアピールすれば観光資源になる。それほどまで素晴らしい自転車環境なのだから。

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