寒い季節に自転車なんて無理…と思うかもしれない。だが、きちんと服装を整えれば意外と大丈夫。ポイントは顔、手、足の3ヵ所で寒さを防ぐこと。これらの末端部は感覚器が多くて寒さを感じ易く、心臓から遠くて温かい血液の恩恵にあずかれない。しかも、風を受けて寒さが最初に染み入るところ。だから、末端部さえ抑えれば、後はなんとかなる。ぴんと張り詰める空気が気持ち良く感じられるはず。
顔の防寒対策
まず、顔は耳と頬を中心に、塞ぐわけにはいかない眼以外を防御する。お薦めは、耳まで被る丸帽と、鼻から頬まで覆えるカラーの組み合わせ。一体型の目出し帽(バラクラバ)より融通が利く。Rapha(ラファ)ならMerino HatとDeep Winter Collarが最適。つばのあるWinter Hat等は前傾時に視界を遮るので、個人的には好きでない。DeepではないWinter CollarやSnoodは薄手なので、厳冬期には役不足。
眼はサングラスをすれば寒さを防げるが、カラーから鼻息が上にまわって曇りやすい。シールド付きのヘルメットなら、これを避けられる。眼とシールドとの間が広いからだ。しかも、エアロ型ヘルメットなら、冷気がシールド内にもヘルメット内にも入り込まない。筆者は以前に紹介したBellのStar Pro Shieldと調光シールドを使っている。夏なら暑過ぎる場合もあるが、冬なら快適だ。
以上を組み合わせて装着したのが、次の写真。重なりが分かりやすいようにしているが、本来は肌が見えないほど重ね合わせる。いつでも銀行強盗ができそう。だが、職務質問をされたことはない。また、帽子を被るとヘルメットが窮屈かもしれない。その場合は、耳が覆えるヘアバンドやヘッドフォンのようなイヤーウォーマーが良いだろう。RaphaならBrevet Merino Headbandあたりだが、若干薄手になる。
手の防寒対策
次に、手は手袋をする。当たり前。そして寒さが厳しくなれば、手袋を2つ重ねてはめる。これで空気の層が二重になって暖かくなる。この場合、内側の手袋は汗を吸いやすいものを、外側の手袋は風を通さないものを選ぶと良い。RaphaのDeep Winter Glovesはかなり厚手で暖かいが、ハンドル操作を妨げない優れもの。厳冬期でなければ、少し薄手のWinter Glovesも良い。いずれもMerino Linerと組み合わせる。
足の防寒対策
最後に、足にはつま先用使い捨てカイロを入れる。これは効果抜群で、暖かさが全身に染み渡る。また、厚手の靴下も効果的。RaphaのWinter Socksは爪先から足裏にかけて生地が厚く、驚くほど暖かい。また、通常のシューズは通気性が良いので、冬には寒く感じられる。冬用のシューズは少ないので、シューズを覆うOvershoesを使うと良い。足についてはDeep Winter系を用いなくても事足りている。
ちなみに、以下は筆者の月別走行距離の積み上げグラフ。一年のうちで最も寒い2月は明らかに走行距離が少なく、平均の半分程度。寒さが残る3月もやや少な目。しかし、12月や1月は暖かい時期と変わらずに走れている。もちろん、地域差や個人差は大きい。筆者の住む地域では、ひと冬に数回は雪が降るが、積もるのは1〜2回で、翌日には溶ける。そして、スキーやスノボは気が進まない程度に寒がりだ。
なお、ここではRapha製品を中心に紹介したが、筆者は同社の関係者ではなく、他社製品との比較評価もできない。ただ、他の製品でも、必ずスポーツ用を選ぶのが良い。自転車に乗ると冬でも体温が上昇して、かなり汗が出る。だから、衣服には適度な排熱や通気が必要になる。短時間の街歩きしか想定していないシティ・ウェアは自転車に向かない。防寒と同時にオーバーヒートにご注意あれ。
【追記】日常的なライドに適した装備を紹介する「冬将軍と闘う3つの装備〜日常編」を公開した。本稿と合わせてご覧ください。(2019.01.12)
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