黒煙を上げて燃える油田を背に、赤い自転車に乗った少年が、こちらを見つめている。この写真は、ゲッティイメージズ ジャパンが2016年に世界中で捉えた報道写真から、「ニューロ(脳科学)x AIプロジェクト」が選んだもの。実際には、写真を見る人のfMRI検査から「未来に語り継ぎたい1枚」との印象を最も多く与えた写真だそうだ。WIREDのPhoto of the Weekにも選ばれていた。
この写真はGetty ImagesのCarl Courtが、イラクのQAYYARAHで10月21日に撮影している。当時、イラク第2の都市モースルはISIS(イスラム国)が占拠していたが、イラク軍が奪還作戦を展開。退却するISIS戦闘員が油田に火を放ち、人間の盾になる恐れがあるので避難せよとの国連警告が出ていた。少年は近くに住んでいるのだろうか。その表情は硬く、裸足で自転車を漕いでいる。これが今年を象徴する写真だ。