死ぬまでに自転車で走るべしと豪語された50の場所、これは2012年に出版された”Fifty Places to Bike Before You Die“なる書籍。副題は”Biking Experts Share the World’s Greatest Destinations”、自転車乗りの達人が世界中の素晴らしい場所をお薦め、だ。実際にも世界各地の自転車乗りが推薦した場所を、その推薦文を引用しながら、著者のChris Santella氏が紹介。流石に著者が50ヵ所を回ったわけではない。
ともあれ、どのような場所が選ばれているか、誰もが興味津々になるに違いない。50ヵ所のリストはAmazonなどで確認できるので、ここでは日本語(主にカタカナ)にして紹介しよう。最初に州名が記されているのは、アメリカ合衆国の州であり、それ以外は国名だ。そして、その後に地名が続いている。かなり広い範囲の地名が記されていることが多いが、本文ではより詳細な地名や道路が挙げられている。
- アルバータ州:アイスフィールズ・パークウェイ
- アルゼンチン:セブン・レイクス地方
- アリゾナ州:グランド・キャニオン〜ノース・リム
- オーストラリア:タスマニア島西部
- ベルギー:フランダース
- ボツワナ/ジンバブエ/南アフリカ:トゥール・トゥリ
- ブリティッシュ・コロンビア州:オカナガン渓谷
- カリフォルニア州:シエラ東部
- カリフォルニア州:ワイン・カントリー
- コスタリカ:アレナル〜グアナカステ
- クロアチア:ダルマチア沿岸部
- チェコ/オーストリア:プラハ〜ウィーン
- デンマーク:デンマークの島々
- フランス:ブルゴーニュ
- フランス:ドルドーニュ
- フランス:プロヴァンス
- ハワイ州:ハワイ島
- アイダホ州:ソウトゥース山脈
- インドネシア:バリ島
- アイオワ州:ラグブレイ(RAGBRAI®)
- アイルランド:コネマラ
- イタリア:ピエモンテ州
- イタリア:サルデーニャ島
- イタリア:トスカーナ州
- リトアニア/ラトビア/エストニア:バルト諸国
- メイン州:カスコ湾沿岸
- ミシガン州:リーラナウ半島
- ミシシッピ州/アラバマ/テネシー州:ナチェズ・トレース
- モンタナ州/ブリティッシュ・コロンビア州:氷河/ウォータートン・レイク国立公園
- オランダ:北部
- ニューヨーク州:ニューヨーク市
- ニュージーランド:南島
- ノースカロライナ州:ブルー・リッジ・パークウェイと周辺
- ノバスコシア州:ケープ・ブレトン
- オレゴン州:クレーター・レイク
- オレゴン州:チーフ・ジョセフ・カントリー
- オレゴン州:ポートランドと周辺
- 南アフリカ:ケープ・タウン
- サウスダコタ州:ブラック・ヒルズ
- スペイン:ラ・リオハ州
- スペイン:マヨルカ
- スイス:クロス・カントリー・トラバース
- 台湾:タロコ渓谷
- テキサス州:ヒル・カントリー
- タイ:黄金の三角地帯
- ユタ州:ホワイト・リム・トレイル
- バーモント州:シャンプレーン渓谷
- ベトナム/カンボジア:ハノイ〜アンコール・ワット
- ワシントン州:サン・フアン諸島
- ワシントン州:ワシントン・ステート・チャレンジ
本書はアメリカで出版されており、著者がポートランド在住のせいか、アメリカの場所が多く選ばれている。さらに、都会は少なく、田園や山岳、あるいは海岸や島などが多い。さぞかし風光明媚であろうことは、添えられた美しい写真からも伺える。もっとも、イタリアならドロミティでしょ、チベットの山岳地帯を走るべき、日本は入っていないのか、など異論噴出は必至。だが、それはそれ、これはこれ。
書籍には厚手の紙が使われ、落ち着いた色調で印刷されたハードカーバー本だ。風景写真は絵葉書のようであり、伝聞形式の紹介文と相まって、古き良き時代の旅行記のよう。日本の旅行ムック本とは趣きがかなり異なる。場所ごとに1ページの写真と2ページ半の紹介文、そして半ページに補足情報で、全224ページ。平易な英文だが、地名などの固有名詞が多いので、Google MapsとWikipediaを開いておこう。
補足情報には、現地への旅行手段とガイドや宿泊施設の連絡先などが簡潔に記されている。気候が最適な時期とライドの難易度や注意点も記されているのも有り難い。GPXなどのルート情報は提供されていないが、それぞれ有名なツーリング・スポットなので、すぐに検索できる。そもそも、電子書籍としての出版もないが、古風な紙の手触りを楽しみながら、異国の地へ想いを馳せるのが良いのだろう。
さて、これら50の場所のうち、何ヵ所を自転車で走ったことがあるだろうか? 筆者は、たった3ヵ所、それもオランダ北部(アムステルダム)、ポートランド、ニューヨークと、要は都市しかなかった。他にも訪れた街はあるが、自転車に乗らなかったのが悔やまれる。そして、残る47ヵ所となると、毎年2ヵ所を訪れるとしても20余年かかることになる。かくも世界は広く、数々の美しい道が待っているわけだ。