X-Form-Vehicle 46~日常を外に持ち出す自転車

作品「X-Form Vehicle 46」は、パイプとクランプで構成された「組み立てが可能な」自転車である。この自転車の特徴は、駆動部とその他のパーツとの距離や、その配置によって作れる空間を使用者自ら定義できる点である。この機能を使うと、使用者は自分がいつも使用している椅子を、そのまま外に持ち出し、使うことができる。その結果、慣れ親しんでいる日常空間を「外に持ち出した時の感覚」が体験できる。

この変形可能な機能を使うと、変化する外界に対応し、形を変形することが可能である。使用する材料は鉄よりは軽く、余分のパイプをスペアとして持っていることが可能なので、もし、急に雨になった場合、車体を変形させ、屋根を付けるということは簡単に行える。このように変形することで、少し異なった感覚を味わえることも、この作品で試したかったことだった。

使用しているのは、メッキパイプの25mm~32mmの径、クランプは、ミニサイズの農作業用のパイプクランプである。技術的な挑戦としては、溶接をできる限り使わず、体重に十分耐え得る構造を作ることがあった。また、駆動部で使用しているのは、子供用の自転車の後輪で、それを角度を上げ、前輪として使用した。そして、子供用の自転車以外は、ほとんどがホームセンターで手に入るものである。結果、技術面では、身近な材料を使って自走する構造物を作ることは、十分可能だと分かった。

つまり、この作品は「形を自由に変形でき、多様な空間が作れるなら、その時の感覚はどういうものなのか」を知るために作られた。ただ、自由な形とは言え、結局、ある程度箱型の空間になってしまうこと、また、体験者がこれを体験するためには、自分たちが使っている自転車のパーツや椅子などの「持ち込み」が必要で、体験にも長い時間を要する。結論として、そのすべてに対応できるパイプとクランプのシステムを構築するのは、ほぼ不可能であることを徐々に気づくことになった。

何よりの問題点は、体験者が自分の「身体を使って操縦する」ことではなく、ただ作ることのみに重点が置かれていたことであった。最終的に、この作品は、「外で滞在する感覚」を扱う作品ではあったが、身体的な運動感覚までは至らないことが大きいことが分かり、徐々に制作の方向を変えていくことになる。

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