ザンビア滞在中にはリヴィングストンにも出かけた。ヴィクトリアの滝やお隣のチョベ国立公園など観光客モードで物見遊山と洒落込む。ルサカからは飛行機で1時間少々。普通の定期航路便なのに、わざわざ遠回りしてヴィクトリアの滝を2回も周回してくれる。リヴィングストンの街はこじんまりとして落ち着いている。赤茶けた大地に平屋の住宅が続き、まばらな灌木と草叢のサバンナが広がる。
レンタル自転車ショップ
ルサカとは違ってリヴィングストンにはレンタル自転車ショップがいくつかある。その中からヴィクトリアの滝に近いLocal Cowboyに向かった。ライド・シェアのYANGOで着いた場所は子供たちが輪になってお勉強中。間違えたと思いきや、そうではなかった。自転車レンタルや自転車ツアーの収益によって貧困層への教育を無償提供していると言う。つまり、自転車に乗ることが社会援助になるわけだ。
質実堅牢な自転車
十数台はあるレンタル自転車からマウンテン・バイクを選ぶ。ルサカのルック車とは違って、マトモなマウンテン・バイクで、きちんと整備されている。自転車担当のDavidは親切で、ルート紹介から注意事項まで丁寧に教示。分かりやすい場所まで先導し、後にトラブルがあった時は駆けつけ、最後は連絡した場所で自転車を回収、と素晴らしい対応。一日のレンタル料はUS$15.00(約2,200円)。
リヴィングストンのライド
ショップからは赤土のグラベルが続く。凸凹や砂地を乗り越えるのが楽しい。やがて幹線道路に至り、舗装も良くなり、走り易い。路肩は広めで交通量も少ない。午前中のやや肌寒い気温、晴れ渡る空、風は穏やか。なんとも快適なライドに心が躍る。遠くまで道路は真っ直ぐに続く。左右に広がる灌木、数km先ながら白い水煙が立ち昇る。ペダルは軽く、漕ぐテンポも早くなる。これぞアフリカの快楽原則。
巨象注意報
ふと気づくと道の先に巨大な黒い影が動いている。ここで、ゾウさんだ!と駆け寄ってはならない。Davidにも象に気をつけろ、昨日も一人殺された、と言われていた。やがて数頭の象が道を渡って林に入ったので、再び走り出したのが悪かった。すぐに国立公園の警備隊に捕まり、強制連行。近くに象がいる間は道路封鎖らしい。その後交渉して安全な場所まで警備車両で送り届けてもらい、九死に一生を得る。
ヴィクトリアの滝
その後は再び快適なライドが続く。ザンベジ川のほとりで小休憩の後、ヴィクトリアの滝に到着。ここで警備隊に連絡を受けたDavidが心配して駆けつけてくれる。もちろん自転車で。夕方もエレファント・タイムだから早く帰って来い、とのこと。そしてヴィクトリアの滝は壮観極まりない。ナイアガラの滝に比べて幅は2倍、落差も2倍。しかも近距離で壮絶な水煙に包まれ、水浸しになる。【映像】
ジンバブエへの国境越え
ヴィクトリアの滝やザンベジ川はザンビアとジンバブエの国境でもある。そこで自転車で国境を越える。入出国管理事務所で即時ビザが発行される。翌日はボツワナに行くので、三国共通のKAZAビザでUS$50(約7,000円)。セシル・ローズが構想したアフリカを縦断する鉄道の一部でもあるヴィクトリア・フォールズ橋をゆっくり渡ってジンバブエに入る。橋からのバンジー・ジャンプは遠慮した。
再びヴィクトリアの滝
一般にヴィクトリアの滝はジンバブエ側の方が見応えがあると言われている。確かに構成や構図として変化に富んでいる。ただ、こちらも大半は水浸し。得難い体験ながら、次第に感覚が麻痺してくる。ヴィクトリアの滝は切り立つ狭い渓谷に注ぎ込むので水煙が激しい。しかも渓谷は7つ連なり、何万年もかけて滝が移動した痕跡と言う。すでに次の渓谷が形成されつつあり、壮大な水時計と呼びたくなる。【映像】
ジンバブエからの帰還
やがて夕刻が近づき、再び国境へ向かう。EU諸国なら素通りだが、ここは手続きに時間がかかる。入国拒否も有り得るので、国家を意識せざるを得ない。再入国した頃には夕闇の気配。エレファント・タイムだ。自然公園近くでは警戒車両が停まって見張っている。ペダルを漕ぐ足が早くなる。市街地に戻って自転車を引き渡し、お勧めのレストランで地ビールMOSIを注文。目まぐるしかった一日を癒す。
リヴィングストンの自転車
ルサカにはなかったレンタル自転車があるように、リヴィングストンは観光客として自転車を存分に楽しむことができる。さすがに自転車サファリはないものの、近くの村落を訪ねたり、川辺で遊んだりできるそうだ。そしてここでも自転車は働いている。しかも随分と荷物が高い。人々は朗らかで親切だ。アジアでも欧米でもないアフリカの息吹が垣間見える。最貧国とは何かと考えさせられる。






