HoloLensで複合現実ライド

10年選手のスマートフォンですら難アリだから、登場したばかりのホログラフィック・コンピュータがライドに使えないのは当然。ただ、Google Glassのような従来型とどう違うのか?特にシースルー映像や空間マッピングとライドとの親和性が気になるところ。自転車は究極のモバイル環境であり、ポテト・カウチとはワケが違う。そんな自転車とHoloLensの相性、まずは、ハードウェアに関してレポートする。

HoloLensは大きくかさばる。スキーのゴーグルに分厚いヘアバンドを取り付けた感じ。重量は600g近くだが、バランスが取れているので重いとは感じない。通常の使用なら、疲れる前にバッテリーが無くなる。装着感も良好。しかし、常に振動にさらされるライドでは不安を覚える。何かの拍子にHoloLensが吹き飛んでも不思議はない。ヘルメット用のあご紐を利用するのが良いだろう。

ライドでは左右確認を除けば前方に視線を集中する。この点でHoloLensでは頻繁に問題になる視野角の狭さは問われない。しかし、前傾姿勢を取ると映像が見えないどころか、額の前にある投影機構が前方視界を塞いでしまう。HoloLensを後方にずらせば、装着が安定しない。つまり、ロード・バイクでは使用困難だ。ママチャリのように上体を起こして乗る姿勢にならざるを得ない。

HoloLensは透過型ディスプレイなので、周辺が明るければ表示が見えにくくなる。曇天なら日中屋外でもなんとか視認できる。だが、光学的加算合成表示なので、陽光が強い場所では映像が光に消え入ってしまう。ライド中の振動による映像の揺れは許容範囲。また、原因は分からないが、走行中に映像の三原色がずれて表示されることもある。もっとも、いわゆるVR酔いは経験していない。

両手でハンドルを握っているのでジェスチャーは使えない。ゆっくりと走れば、片手離しのジェスチャーができるが、危ないことこの上ない。それよりクリッカー(ボタン)をハンドルに取り付けると良い。長押しなどでメニューが開かないのが残念。いっそのことDi2のボタンに対応して欲しい。モバイル(移動体)では直観的で物理的なインターフェースが重要になることを再認識する。

また、風切り音のせいだろうか、走行中に大声を出してもボイス・コマンドに反応しない。ただでさえ下手な英語発音が、声を張り上げるせいで更に下手になっているのかもしれない。一方、空間音響スピーカーを最大音量にすれば、ライド中でもそれなりに聞こえる。耳を塞がないので、道路交通規則等に抵触しない。音楽をかけて開放的なライドができる。ダダ漏れなのが辛いけど。

このように、HoloLensのハードウェアはライド向きではない。その出自からしても、オフィスなど室内向けにデザインされているし、需要が多いことも想像できる。数少ないメリットのひとつは、全体の外観だ。シールド付きのヘルメットのように見えるので、驚く人がいなかったからだ。むしろ、ヘルメットにHoloLensを組み込んで欲しい。室内であっても、転倒時の頭部保護に役立つに違いない。

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