自転車シェアリング〜Spinlister借り手編

グローバル・バイク・シェアをうたうSpinlisterは、言わば自転車版Airbnbで、個人間の自転車のレンタルを仲介する情報サービス。従来のレンタル自転車やシェアリング自転車とは違って、特定の自転車や設備は存在しない。利用できる自転車は多種多様であり、世界中どこでも借りれる(かもしれない)。昨今流行りの共有経済と情報技術の結合であり、P2P(Peer-to-Peer)共同体の自転車への適用だ。


Spinlister – The Global Bike Share – Make Money, Meet People, Save Environment from Spinlister on Vimeo.

Spinlisterの利用者はWebサイトかモバイル・アプリで場所や期間を指定して利用可能な自転車を調べる。気に入った自転車があれば、レンタルを申し込み、貸主からの承諾を得て予約完了。その後はチャットで受取場所や返却方法などを打ち合わせる。会員登録や自転車の検索閲覧は無料。実際にレンタルをする時のみ利用料がクレジット・カードから引き落とされる。それでは簡単に利用手順を見ておこう。

Spinlisterではログイン前でも、レンタル可能な自転車を確認できる。実際の利用にはSign Upしてアカウントを作成する。
メール・アドレス等を入力してアカウントを作成。右上の歯車をタップして、携帯電話番号やクレジット・カードなどを設定する。
利用したい自転車があれば、Requestボタンをタップする。使用開始と使用終了の日時を設定してレンタルを申し込む。
貸主が承諾すれば、Needs Paymentボタンをタップして支払いを行う。この時に破損や盗難の保険をかけることもできる。
予約完了すればBookedと表示される。受け渡しなどは貸主とチャットで打ち合わせる。利用終了後にレビューも書くと良い。

実際に小径車を借りた時は、貸主の丁寧な対応もあってスムースに利用できた。シングル・スピードの小径車を一日借りて$5(600円弱)なので、リーズナブルだろう。ただ、Spinlisterは英語表示なので、多少分かりにくいかもしれない。例えば、レンタルを貸主が承諾すれば、予約完了に思える。しかし実際には支払いをしなければ手続き完了とならない。このような注意点はあるが、概ねサービスは良好に働く。

また、貸主は個人であることが多く、その居住地や勤務先で自転車を受け渡すことが多い。近隣の駅などに自転車を運んでくれるオプションもある。さらに番号式のロックをして駐輪場に自転車を停めれば、時間の制約がない受け渡しも可能だ。こうなるとsobi (Social Bicycles) が当初構想していたシステムにも近い。様々な共有サービスが影響を与え合いながら、今後も進化するに違いない。

さて、Spinlisterは、創業者がCraigslist(WEB版売買掲示板)で自分の自転車を貸し出したのが始まり。従来のレンタル自転車とは異なり、日常的に使っている自転車を貸し借りするわけだ。結果的に、貸主の個性ごとに多種多様な自転車が貸し出される。通常のレンタル店にロード・バイクはないが、どんな町にもロード乗りがいる。彼らがSpinlisterに登録すれば、世界中でロード・バイクが利用できる。

これはもちろん条件付きだ。Spinlisterは本質的に情報サービスなので、いかに人々に認知されて利用されるかが課題となる。実際には本拠地であるサン・フラシンスコでも、自転車の登録はまだまだ少ない。そこでSpinlisterは既存のレンタル店との連携や、自転車メーカーVan Moofと組んでシェア志向の新型自転車を開発している。いつの日にかP2P自転車シェアリングがクリティカル・マスに達するだろうか。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です