自転車に乗る時の必需品のひとつがサングラスだ。普通の自転車でもそうだが、特に高速走行するロード・バイクでは、陽光の眩しさで視界が確認できないことがあってはならない。真夏の強烈な日差しの下で、サングラスなしにライドをするのは危険なほどだろう。実際には春先から日差しは強くなるし、秋から冬にかけても思いがけず陽光が強い日がある。だから季節を問わず、サングラスをかけることになる。
一方、夜になればサングラスは不要だ。視界が暗くなるサングラスをしていては危なくて仕方がない。ただし、場所によっては砂埃や粉塵が舞っている。夏の夕暮れ、郊外では小さな虫の大群が待ち構えている。これらが目に入ると、たまったものではない。そこで目を保護するために、透明なレンズのメガネをかけておく方が良いだろう。昼間はサングラスを、夕暮れからは透明グラスをするわけだ。
こうなると一方は目にかけて、もう一方はポケットなどに入れて携えなければならない。メガネは重たいものではないが、意外にかさばり、壊れやすいので扱いに困る。何人かの知人に尋ねても、サングラスだけで夕方までは走らない、視力矯正メガネだけで目を細めて眩しさを我慢する、サングラスだけで暗くなると外して砂埃は我慢する、などと必要性を認めながらも両方を携えるのは面倒との意見が多かった。
この問題の解決策のひとつは、クリップ・オン式、あるいは跳ね上げ式のサングラスだ。透明レンズのメガネに被せるように色の濃いレンズを取り付ける。サングラスのツル部分は不要なので、少しだけ扱いが簡単になる。しかし、日中は二重のレンズになるので見にくく、可動部が不安定になるなどの問題もあるらしい。そのようなわけで、あまり人気がなく、製品のバリエーションに欠けるそうだ。
もうひとつの解決策は、調光レンズのサングラスを用いることだ。調光レンズは明るさ、正確には紫外線情の強さ、に応じてレンズの色を変える。なので、明るい時はサングラスになり、暗くなると透明になる。これ一本で終日ライドに対応できるわけだ。ただし、色か変わるのに短くても十数秒ほどかかる。これは、夕暮れ時には問題にならないが、トンネルの出入りに対応できず、困ってしまう。
調光レンズの問題を解消するために、最近登場したのが、電子シャッター式の調光レンズ。これは本当に一瞬で色が変わるので、その変化の仕方に驚いてしまうほどだ。原理としてはレンに液晶を組み込んでいるそうで、ツルの内側にある環境光センサーによって色を変化させる。レンズを通した見え方に違和感を覚えなくもないが、全般的な動作は良好だ。ただし、充電を忘れると、ただのメガネになるので要注意。