Hangar(15) 運転免許更新の駐輪場

運転免許の5年ぶりにやってきた。更新講習の区分は「優良運転者」であるによって、優良な運転手に相応しい講習内容を期待してやってきた。

自転車で免許更新センターにつき、駐車場はあったが駐輪場が見当たらない。道路交通の安全のためにある施設は当然、自転車交通もその範疇だ。自転車で更新にくる人がいることは想定しているはずである。

玄関にやってきたが駐輪場の案内はない。自転車駐輪をすると思しきスペースも見当たらない。

自動車の駐車場はあるのでそちらに向かい、受付の人を見つけて「駐輪場はありますか」と聞いた。受付の人は何というか、照れたような表情を浮かべて答える。「あの、正面の方にですね、えぇ、何台か停まってるかもしれないので」。

受付の人はおそらく、これといった駐輪場はないのだけれど、雰囲気でそれっぽく駐輪スペースを察してそこ停めてください、というようなことを、表情込みで伝えたかったのだろう。

「ああ、そこに停めればよいのですね。ありがとうございます。」と告げて駐車場をあとにして、改めて正面入り口までやってきた。確かに自転車が停まっているものの、限りなく勝手に停めているような雰囲気である。ここから感じられる雰囲気は、通行を妨げないようにして良き所に停めて下さいと察せられる。明示されない以上、察した雰囲気に従うしかない。

正面に停めると、駐輪というよりは自転車ライドのフォトスポット記念写真のようになる。まるで見せ物のようで防犯上も良くない。少し離れたところにロック固定できる箇所を見つけ、目立たぬよう騒がれぬよう、駐輪した。

今回、マイナンバー免許証が取得できるようになったということで、従来型の運転免許証とマイナンバー免許証の2通りの免許証更新・申請することにした。なぜ2枚も持つのかというと、簡単に言うならば新たに始められたシステムだけに信頼性を求めることをもとより考えていないからである。おそらく何らかの不具合、トラブル、不便に出会うことも織り込んで、方法を多重化しておくのはシステムに対する防衛本能のようなものだ。ソフトウェアやOSをバージョンアップするときも、いざという時に復元できる手段を残しておくことは珍しいことではない。

講習は30分で終了した。私はこの講習を免許更新のたびに楽しみにしている。今回は5年の間隔が空いたこともあって、法律改正などがいくつかあり、それを確認する機会である。自転車に関しては、反則切符制度によって、飲酒運転や逆走、走行中の携帯電話利用、一時停止違反などが、自動車やバイクと同等の交通違反として取り締まられるようになったのは歓迎すべきことだ。

講習が終わるとそこから、従来型免許証、マイナンバー免許証、両方の免許証、というルート分岐によってそれぞれの部屋に移動した。マイナンバー免許証の発行機材は3台用意されていたが、この日に運用されていたのは2台で、その2台を希望者が順番待ちをして使用し、手続きを進めていった。

更新センターから帰るとき、自転車置場のように察せられた場所には、4,5台ほどの自転車が停まっていた。私は雰囲気的にも用途的にもあまり適していないと感じた空間ではあったが、他の自転車にとってはそこが自然と駐輪場として受け取られたということでもある。

次の5年間に、自転車の道路交通の安全や利便性がどのようになっていくのか、おぼろげに感じながら帰った。道路の作り方、交差点や設備のあり方、表示や現代的な電子通信機器の活用。その基盤に対する民主的な取り組みが求められていくことは、この日の体験の中にも静かに示されていたのではないかと思う。自転車に乗る人々の振る舞いによってルールは決まっていくのだから。

明示することも良いし、明示しないことにも都合の良さはある。インターネットにも自転車にも、いまのところ免許制度は取り入れられていない。しかし、雰囲気が悪くなってしまうと、ずっと変わらないとは言い切れない。私自身も、5年後にこの免許更新センターまでの坂を自転車で容易く登れるかどうかは分からない。

次の運転免許更新のときまでも、健康に自転車に乗り続けていられることを望む。そしてできれば、駐輪場がいまよりも少しだけ変わっていることも。

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