「ちょっと目を離した隙に自転車を盗まれた」という話を耳にする。自転車盗難には、駅前に停めてあったのを「ちょいと拝借」といったパターンもあれば、明確に盗む意思を持った人間に盗まれることもある。特に高級なロードバイクは、たとえフェンスなどに繋ぐ、いわゆる「地球ロック」をしていても、身ぐるみを剥がされる危険もある(サドルだけ、車輪だけ盗まれるなんてこともあるらしい)。また、最近は販売目的とみられる電動アシスト自転車のバッテリーを狙った被害も増えているという。自転車盗難も多様化が進んでいるのか。自転車乗りの大きな関心ごとの一つ「盗難」。今回は、都内の自転車盗難事情を探ってみた。
どの区で盗まれてる?
下記は、自転車盗難発生件数の多い市区トップ20を地図上でヒートマップで表現したものである(データ出典:警視庁 犯罪発生情報 年計 2024年)。

※便宜上、市区役所所在地を地点としている
ベスト5(数字は発生件数)
1 世田谷区 1,766
2 江戸川区 1,751
3 大田区 1,565
4 練馬区 1,425
5 足立区 1,394
※総発生件数は28,831件
江戸川区の状況
世田谷区と江戸川区は僅差である(なお、2023年は江戸川区が1位)。世田谷区は人口約95万人と東京23区で最も人口が多い区であり、おのずと自転車盗難発生件数も多くなることは想像できるが、江戸川区(約69万人)も匹敵している。
江戸川区の中でももっとも自転車盗難発生件数の多い「瑞江2丁目」(64件発生)を訪ねてみた。江戸川区は東京の東端に位置し、千葉県に隣接している。瑞江2丁目は、都営地下鉄新宿線の「瑞江駅」周辺であり、商業施設も多く、町並みも整然とした印象を受ける。ただ駅前の地下駐輪場も含め「自転車の盗難に注意!」の警告はやたら目にした。



江戸川区のサイトに掲載されている「特集 あなたの自転車が狙われています」によると、5割以上が自宅の敷地内での被害で、マンションやアパートなどの共同住宅の駐輪場からの盗難被害も多く報告されているという(同区の住居形態は、共同住宅が2/3以上を占めているそうだ)。自宅敷地内といってもまったく安心できないのである。区では、盗難被害が多い集合住宅に防犯カメラ80台を設置する実証実験の実施や、「自転車盗ゼロ作戦」などの啓発活動を行っている。
盗難多発地区ナンバー1を歩く
警視庁のデータには「発生地区」(住所)の情報も含まれており、それによると地区別のナンバー1は大田区の「蒲田5丁目」であった(165件発生)。蒲田は、大田区に位置し、都心や羽田空港へのアクセスもよい便利なエリアである。

「蒲田5丁目」にも行ってみた。蒲田5丁目は、JR東日本、東急の「蒲田駅」や大田区役所を擁している。前述の「瑞江2丁目」と比べると街自体は雑然とした印象を受ける(蒲田自体は下町感あふれる魅力的なところである)。公共の駐輪所も多数設けられているが、とにかく街角に停められている自転車の多さが印象に残った。自転車の種類もいわゆるママチャリが多い。それがもし無施錠だったら―― 雑然とした駐輪、特徴のないママチャリと、盗みやすい(盗まれやすい)条件が揃っているように思える。



なぜ盗むのか
2024年に東京郊外の町田駅周辺で自転車の盗難被害が急増した。タウン誌記事によると、その原因は「同時期に路線バスが大幅に減便されたことが関係している可能性」が高いと町田署がコメント、「帰宅する手段を失った人が『足』代わりに自転車を盗難したケースが増加した」とみられるという。帰りのバスがなくなったので駅前に置いてあった自転車を盗む――あまりに短絡的であり、窃盗罪にあたる自転車の盗難への意識が軽すぎる。
2024年の都内の発生数28,831件。その分盗まれた自転車があるというだけで悔しくなる。いずれにしても自転車乗りとしては、自転車の盗難は絶対に許しがたい。
なるほど〜と興味深く読ませていただきました。施錠と盗難の関係はどうなんでしょうね。私は(ほぼ必ず)施錠するせいか自転車を盗まれたことはないです。近隣で盗まれた人は鍵をかけていなかったそうです。
記事中触れてませんでしたが、実は元の警視庁のデータに「施錠あり、なし」の項目もありまして、それによると全体件数28,831件のうち約6割(17,497件)が「無施錠」でした。各区でも盗難防止には「とにかく施錠を」と呼びかけてますね。(しかし逆に4割は鍵をかけてても盗まれるのか、、と思ったり)
「4割は鍵をかけてても盗まれる」のは辛いですね。頑丈なチェーンやU字型ロックは重たいし…