日本の自転車乗りに自転車ゴハン

Velochef」や「Feed Zone Portables」など欧米のサイクリスト向け料理本は、材料が入手しにくかったり、用語が分かりにくかったりして、必ずしも日本人向けではないようだ。そこで日本の自転車料理本を探してみたところ、唯一見つかったのが「日本チャンピオン・宮澤崇史が作る!自転車ゴハン」。ソツのない表紙に悪い予感をいだきながら取り寄せてみたところ、見事に想像した通りの内容だった。

つまり、これは「NHKきょうの料理」や「オレンジページ」のような典型的な日本の料理本だ。白基調のページに鮮明な料理の写真を大胆にレイアウト、明朝体の大きな文字でキャッチを入れ、意味ありげなコメントを添える。肝心の材料や手順は小さな文字で申し訳程度。といった塩梅で企画と編集の天下。冒頭と巻末に自転車に関したページが僅かにあるが、それがなければ普通の料理ムック本と変わらない。

ランダムにこの本の料理を拾ってみると「男の豚キムチ」「彩り温野菜」「かぼちゃのポタージュ」「トマトのスパゲッティ」など。これらがPart.1の「普段のレシピ」、確かに。Part.2はデザートでティラミスやプリン、ぜんざいなどが並ぶ。工夫すればカロリー制限できるらしい。そして最後のPart.3は目的別レシピで、パワーアップや疲労回復などに応じた料理。足つり予防には海鮮ヤキソバだとか。

ただ、この本を普通の料理本であり、単なる編集本と思うのは、料理をしない筆者の勝手な感想のようだ。毎日の食卓を預かる某主婦や、かつて飲食店を経営していた元シェフに見せたところ、この本はかなり好評で、実際に作ってみようと思ったそうだ。いずれも自転車乗りでもあるので、この本に書かれた自転車との料理の関係も興味深いらしい。この本は料理本の王道であることが効果的であったようだ。

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