虹チャリ(3)自転車で虹を追いかけながら、町を疾走する。詩をかく。

自転車を改造し、自らの力で虹を生み出す「虹チャリ」を制作した。車輪の回転に合わせ、進行方向の前方に霧が噴き出す。太陽を背にしてペダルを漕ぐと、光と水滴と走行者の視線が交差する瞬間、虹が立ち上がる。第3回の連載では、東京での虹チャリの活動、福島県でのアーティストインレジデンスの進捗を報告したい。

①Rainbow bicycle in Tokyo_01

虹チャリin東京

東京では、ビルが立ち並び光が差し込まず、虹を捉えることも難しい。 ビルの隙間から差し込む太陽を探し、虹が見えるスポットを虹チャリで探す。 都市と自然のあいだで、虹チャリを介し、虹を追いかけた。

また今回、虹チャリは東京の至る所にあるシェアサイクルを利用して行った。シェアサイクルに非侵襲操作を加え、虹を出せるようにした。公共空間に配置されたシェアサイクルに虹という詩的現象を組み合わせ、東京の街に虹を描いた。これは、全てをインフラとして飲み込み、機能性を追求する都市空間へのささやかな抵抗である。

そして、この映像はDIG SHIBUYAの公式プログラムとしてNEORTが主催する「SCREENS CONTEXTUALIZED」に応募している。採択されると街に点在するデジタルサイネージにパブリックアートとして投影される。本作品は、公園 / 広場 / 街路等の公共空間をハックする。今回の作品は一般的にサイネージに投影される映像としては、不自然かもしれない。公共のサイネージに突如現れる虹をかける自転車、見る人の疑問は解消されない。提示されるのは、謎の人物が自転車に乗って虹を出す映像と「虹チャリは自らの力で虹をかけることのできる自転車。」「虹チャリは今日もどこかで虹をかけている。」というメッセージのみ。 ほとんどの人は忙しない都市での生活の中でこのサイネージを見逃すだろう。しかし、この作品がサイネージとして投影されることで、この一見ふざけた乗り物で笑ってくれる人がいるかもしれない。それで良い。東京では虹を見ることも少ない。青空の代わりに広がるのは、視界いっぱいのビル群だ。この30秒の映像をみて、空を見上げるきっかけになるかもしれない。いつか見た虹を思い出すかもしれない。地球のどこかで、びしょ濡れになりながら、虹を追いかけている男の存在を知って、気持ちが軽くなるかもしれない。

虹チャリは地球上のどこでもできる。虹チャリを通じた新たな取り組みの一つである。
虹チャリは今日もどこかで虹をかけている。

②福島県でのアーティストインレジデンス
2025年12/26から1/3まで3回目の浪江での滞在を行った。今回の滞在では、浪江で虹チャリと共に年越しをし、浪江で行われるイベントに参加しながら、その様子を映像として記録することに取り組んだ。

⑴あるけあるけ初日詣大会への参加
あるけあるけ初日詣大会は、道の駅なみえから請戸海岸までの高瀬川に沿って約5kmみんなで練り歩き、水平線から昇る初日の出を拝み、今年一年の無病息災を祈念する行事だ。当日は、太鼓の演奏と神楽の演舞もあった。筆者も虹チャリを押しながらか他の参加者と一緒に請戸漁港まで歩いたり、虹チャリを漕いだりした。

初日の出


⑵請戸漁港出初式への参加
請戸漁港では毎年1月2日、大漁旗をなびかせた漁船によって、1年間の海上安全と豊漁を祈願する「出初式」が行われる。出航の前には、神事が執り行われ、多くの人が集まる。請戸漁港の復興ともに2018年から再開された。今年は、10隻の漁船が集まり出航した。筆者も漁船のうちの1隻に、搭乗させてもらい浪江の海を感じることができた。貴重な体験であった。

請戸漁港での出初式
船から眺める請戸の海

⑶成果展へ向けて
レジデンスの成果展は、大堀相馬焼松永窯の旧窯元を会場として行われる。大堀相馬焼とは、福島県浪江町大堀地区を中心に300年以上の歴史を持つ、青ひびと走り駒、そして二重焼が特徴の伝統工芸品だ。震災後は西郷村にて窯を移し、旧窯元は、遺構とギャラリーになっている。私たちの組は今回、遺構にに隣接する倉庫で展示を行なう。今回の滞在では、倉庫の片付けとインストールの構成を計画した。積もった埃を掃除しながら、作業をしているとさまざまなオブジェクトが出てくる。2/6~8に開催される展示本番に向けて制作を進めていきたい。

⑷国道6号線縦断計画
国道6号線は、波町を南北に縦断する基幹道路である。北は仙台、南は東京まで続く道路であり、6号線を利用してこれまでもたくさんの物資が運搬されてきた。それは原発事故の前後でも変わらない。浪江町に、滞在するにつれて、この6号線という存在が大きく感じられるようになった。そこで、6号線に沿って、浪江町から東京の日本橋まで虹チャリで虹をかけることにした。これは1月中旬に実施する予定である。乞うご期待。



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