本書には36本の短い作品が収められており、それらの中でも「乗物雑記」と「轔轔の記」の2作品は、明治後期から昭和前期にかけての、都市の交通文化を見つめた著者による覚書きであり、乗り物批評でもある。 「乗物雑記」では、交通手
Read more
クリティカル・サイクリング
本書には36本の短い作品が収められており、それらの中でも「乗物雑記」と「轔轔の記」の2作品は、明治後期から昭和前期にかけての、都市の交通文化を見つめた著者による覚書きであり、乗り物批評でもある。 「乗物雑記」では、交通手
Read moreバーナード・フィッシュマン(Bernard Fishman)の「自転車で月へ行った男」(1979)は、文庫本で170ページほどの中編小説。原題は”The man who rode his 10-speed b
Read more「長くつ下のピッピ」などで有名なスウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(Astrid Anna Emilia Lindgren)は、幼い少女ロッタが自転車に憧れ、乗ろうとする物語を書いている。それが「ロッ
Read more前回の第3回では本連載の試作1号となるピンホールカメラを用いた撮影を行ったが、結果として露出不足の写真が出来上がってしまい失敗作となった。今回の第4回では異なる撮影・現像方法を試す予定であったが、今月は撮影及び大学の暗室
Read more湊ナオの「イノセント・ツーリング」は、自転車で紀伊半島南部を巡るツーリング小説。この手の自転車作品の中で本作を特異にしているのは、出版日が2021年2月であること。そう、新型コロナウイルスのパンデミックが収束しないまま1
Read more「今さら言えない小さな秘密」はジャン=ジャック・サンペによる絵本(1995)、そしてピエール・ゴドー監督による映画(2019)。物語の主人公は片田舎の自転車屋さん。どんな自転車も素早く修理する腕の良さで皆から尊敬されてい
Read more昨年末、自転車にまつわるエッセイ、小説、詩、漫画のアンソロジー『自転車に乗って アウトドアと文藝』(河出書房新社、2020年)が刊行された。前回の赤松正行の記事「金子みすゞの電報くばり」に登場する金子の詩も収録されている
Read more大正から昭和にかけて活躍した童謡詩人、金子みすゞは、26年間の短い生涯に500編以上の詩を遺している。もっとも有名なのは「わたしと小鳥と鈴と」だろうか。「みんなちがってみんないい」と100年近く前に高らかに多様性を謳って
Read more前回の記事で紹介した、女性初の自転車世界一周を成し遂げたアニー・コーエン・コチョプスキー。彼女が日本を訪れた明治28年(1895年)3月、新聞各紙がその様子を伝えている。3月2日付けの『東京朝日新聞』の記事からは、東京で
Read moreサンタと自転車に乗れたなら〜 今年のクリスマスはステイホームという人たちがきっと多いだろう。しかし、子どもたちはCOVID-19(新型コロナウイルス)状況があろうとも、純粋にサンタさんを心待ちにしているはずだ。 ここ数年
Read more小中学生の頃、多くの人が読む伝記の一冊に『キュリー夫人伝』がある。娘のエーヴがマリーの死の4年後1938年にこの伝記を出版した同年、日本でも白水社から翻訳が出版されている。アメリカでは1943年に伝記に基づいた映画『キュ
Read moreタイトルから旅行記を想像すると、軽く期待を裏切られるのが本書の醍醐味ではないだろうか。日常を分裂的に旅する、80年代文化論。クリスチャン・ラクロワの香水やYMO、ブルーハーツの音楽に紛れた通奏低音は「可能世界意味論」だ。
Read more