1年ぶりの休暇!(ちゃんと休もう、という意味で)岡山県へ行った。約10日間の滞在。平日の日中は仕事をしていたが、晴れた休日は自転車に乗った。
思えば子供の頃は世界中の全ての物質に自分の指紋を付けたいと思っていた。周りの物をペタペタ触っていた。その名残か、行ったことのない場所へ行くのが好きだ。もっと言えば食べたことのない物を食べたり、考えたことのないことを考えるのが好きだが、場所と移動への執着は一入。日常のルーティンから出来るだけ逸脱して、世界への興味で満ち満ちていたい。
今回訪れたのは岡山県のとある離島。フェリーに乗って行った。

島の外周をサイクリングする。海釣りをする人たち。古い佇まいの瓦屋根。時々島民を見かける。言ってしまえば「何もないがある」ような場所で、ドーパミンを刺激するような環境でもないし、自転車に乗っている間はやや内省的になる。車輪の回転が自分の未来への希望と現実の不安の満ち引きを暗示しているようだと思った。
集落は昭和の佇まい。きっと50年くらいは景観が変わっていないだろうと想像する。自転車での移動は風景と親しむには丁度いい。気になったら止まる。街の不思議を見過ごさないくらいの速さ。それは記憶に堆積していき、例えば未来のいつかの朝「そこ」にも朝が訪れていることを密やかに想像するだろう。

写真で見返すと「良い場所だな」と思う瞬間も、その場所にいる時は何の変哲もない風景であるように感じる。それが惜しい。久しぶりのサイクリングで坂の傾斜に疲弊していた。

島には石切場があって地元の人が案内してくれるツアーに参加した。自転車に乗っている間、島の空間にほとんど音がないことをずっと考えていたが、かつては随分賑わっていたらしい。東京や大阪の古いランドマークにも採掘された石が使われていると案内人のおじさんは語る。
島を削り、現金に変える。栄枯盛衰があり来月からはベトナム人実習生を招くと聞いた。

帰りのフェリーの便。自転車を載せることができる。撮影で島を訪れていた芸能人と居合わせた。どうしてか、大量のカレンダーが並んでいたことが忘れられない。
