わたしはゆるく、自転車に乗る。(その4)

自転車に乗り始めて半年が過ぎた。自転車は、気がついたら私の生活に欠かせないものになっていた。人がいない長い道を颯爽とかける瞬間が気持ちいい。虫や鳥とすれ違うときに挨拶をする。時々歩くこともあるが、自転車の便利さと気持ちよさを知ってしまえば、もう手放すことはできない。

しかし、今まで自転車と走ってきた中で、自分の生活と強く結びついているからこそ「もっと、便利にしたい。」と思うことが増えてきた。主にお買い物に行くときに自転車を使うのだが、重い買い物袋をリュックサックに詰め込み自転車を漕ぐと、身体が重く漕ぎづらいのだ。この間、5キロのお米を背中に感じながら走ったが、かなり重かった。そんな時、自転車リアラック用のがあるという話をいただき、「それ、私の自転車に欲しい!」と思い、自転車改造計画を立てた。リアラックが無い状態の自転車も格好よかったが、付けた方が自分の生活にもっと寄り添った自転車にすることができるだろう。

クロスバイクの良いところは、個人に合ったカスタマイズができるところだ。その分、知識と労力が必要であるが、世界にたった一つの自転車にすることができる。自転車に乗るまでママチャリしか知らなかった私は、自転車にはカゴやリアラックが装備してあるものだと思い込んでいたが、どうやらそうではない自転車を譲り受けたため、自分で付ける必要があるらしい。

ということで、今回はついに自転車にリアラックをつけた話をする。

リアラックも自転車と同様、中古でいただいた。大学にあった工具を借りて、自転車に詳しい人たちに協力を仰いで取り付けを行った。たくさんのネジ、良くわからない部品。最初は頭に「?」が浮かんでいたが、部品の名前や付ける位置を丁寧に教えて貰った。こういった、ものを組み立てたり、力のいるような作業は少し苦手で、手先は不器用だとよく言われていたため、あまり自分でやったことがない。自転車を漕いだときのことを考えながらシミュレーションしながら取り付ける位置を確認して、自転車と部品を絡め、ネジを締めた。普段ネジ回しなどしないもので、「右ってどっちだ」と逐一考えていた。レンチを使うときも、「てこの原理だよ」というアドバイスをいただいてハッとした。ずっと昔に習ったことが自分の身体を通じて明確に結びついた瞬間だった。

途中まで取り付けていて、私の自転車と部品のサイズがかみ合わず、ゆるくなってしまうところが合ったため、取り付けは一度中断した。ゆるくなる隙間に挟む用のゴムを購入してから、また後日続きを行うことにした。

後日、大垣のDCMに向かい必要なものを購入した。DCMというホームセンターは、以前住んでいた福島では見かけなかったので、大垣に来てから初めて知った。購入したゴムを適切な大きさにカットして、取り付け作業を再開。ナットとワッシャーの仕組みについて教えてもらい、1つ1つの部品に意味があることを実感した。ネジとナットだけでは、緩みやすくなってしまうそうだ。私のリアラックの部品にもあった平ワッシャーは、取り付ける面が沈み込むのを防いでくれるためにある(https://bossard.co.jp/locking-function-of-washers/)。座面に触れる面積を広げることで力を分散し、陥没と傷を防いでいる。こういったことは、自分がネジに触れてみないと気が付かなかったし、興味も持てなかったと思う。これからはネジの取り付けにも困らないだろう。

長さを調整しつつ、ネジを何度も締めたり緩めたりして、ついに取り付けが完成した。最初から付いていたかのように馴染んで見えた。その裏にある手を汚しながら取り付けた背景は見えない。道ですれ違う人は何とも思わないのだろうけれど、私だけがこの自転車に誇りを持っているんだろうなあ。

まだリアラック用のバッグは持っていないため、お買い物は楽にはなっていない。バッグを買ったら、少しだけイメチェンした私の自転車とお買い物をしよう。

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