スリップメスティンで自転車キャンプ用メスキットをアップデート

少し前に、細長い箱形のメスティン(定番のトランギア製TR-210)を活かした自転車キャンプ用メスキットを組んだ。概ね満足していたが、素材が無垢アルミのため食材がくっつきやすく(その結果として焦げやすく)、フィールドでの清掃の負担が大きいという課題があった。そこで今回、内部コーティングの施された8A Garage(ヤエイガレージ)のスリップメスティン(レギュラーサイズ)を購入。よく使う道具になりそうである。

上がTR-210、下がスリップメスティンのレギュラーサイズ。

レギュラーサイズのスリップメスティンはトランギアのTR-210より少し重いものの、寸法はほぼ同じで、基本的な構造もほとんど変わらない。入れ替えるだけで自分のメスキットのアップデートが完了する点も魅力だった。

品名TR-210スリップメスティン(レギュラー)
寸法17×9.5×6.2cm16.5cm×9.5cm×6.4cm
容量750ml800ml
重量150g168g
材質アルミ(無垢)アルミ(アルマイト処理、本体内部は特殊スリップ加工)
※スペックは全て公称値

実際に使ってみると、スリップメスティンにはコーティング以外にもTR-210と比べて優れている点があった。その第一は少しカチ上がったハンドルで、こちらの方がずっと持ちやすい(直角は直角で、バッグの中で他の荷物に圧されても曲がりにくいなど別の利点があるのだとは思う)。

ハンドルが低い位置に展開するTR-210(奥)と、カチ上がるスリップメスティン(手前)。

蓋を取ってみて気づいたことの一つは、本体上部のリブの不在だ。TR-210には強度の確保のためにこれが施されているが、スリップメスティンはフラットでもしっかりしている(リブ無しでヘナヘナの製品もある)。そしてこのフラットな内壁がまた掃除を楽にしてくれている。

本体上部に補強のリブが入っているTR-210(左)と、フラットなスリップメスティン(右)。

底面から内壁への立ち上がりのアールもポイントだ。TR-210はこの入り隅がタイトで、そこに食材が固着し焦げやすく、掃除にも地味に手間がかかる。ウェットティシューでの簡易清掃を売りにしているスリップメスティンは、入り隅もやや緩やかなため拭き上げがやりやすい。リブ無し・ゆるアールがコーティング施工上の都合によるものだとしても、そうした制約への対応が使い勝手を向上させているのはとても優れたデザインといえる。

スリップメスティンは入り隅もスムーズ。なおTR-210のようにエッジのヤスリがけが必要ということもない。

現行のスリップメスティンには内側に目盛りが刻まれている。多少は食材が付着しやすい部分になるといえそうだが、今のところ特に気になっていない。ただ、ハンドルを右手で持った際に正面に目盛りが見えるようになっているので、左手で持つことが多い自分としては反対側の方が嬉しかった。

スリップメスティンの内壁の目盛り。1合と1.5合の米と水、および液体200、400、600mlという構成。

スリップメスティンのコーティングは「特殊スリップ加工」とだけ説明されており、詳細は分からない。「耐熱温度はテフロン加工よりも高い300℃」、「耐摩耗性は『鉛筆硬度4H』」とのことである。実際のところ「スリップ」性能は高く、調理中も片付け時もとても便利だ。製造過程でPFOAが使われていないかなど環境負荷が気になるところだが、清掃に洗剤や水を多く使う必要がないので、その点でも結局はTR-210などよりベターではないかと考えている。

冷蔵庫にあったものをスリップメスティンで加熱し適当に味付けをして食べてみた。内壁に付着したものはウェットティシューで簡単に取れる。

スリップメスティンは、長く付き合う予感がする道具だ。シンプルかつよく考えられていて、汎用性が高く、運用も簡単。これからどんどん使っていきたい。

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