Prehistoric [Kofun-period] Bicycle / 古墳時代の自転車

Masayuki Akamatsu
Prehistoric [Kofun-period] Bicycle
2022

Medium
Two bicycles

Dimensions
130 x 120 x 100 cm + 90 x 70 x 20 cm

Acknowledgment
I would like to express my special thanks to Shinsuke Sagisaka, Takashi Kurama, Yushi Yashima, Madoka Okoshi, Kosei Hayashi, IAMAS and Critical Cycling.

Copyright
© 2022 Masayuki Akamatsu

作品ノート:古墳時代の自転車

「古墳時代の自転車」は、古墳時代にタイムスリップした自転車が、どのように扱われたを考証し、その状態の復元としての作品だ。当時、既に鉄器の製造が行われ、木製の車輪も使われていたらしい。しかし、自転車のように精巧で複雑なものは見たことがない。人智を超えた摩訶不思議な物体として恐れ慄いただろうか? あるいはサドルに跨りペダルを漕いで乗りこなしただろうか?`

なにしろ、何千年も前に車輪が発明されたにもかかわらず、自転車が発明されるのは約200年前でしかない。荷車と自転車は機構的には大差がないようで、その間には人々の意識として大きな隔たりがある。それでは逆に、完成した自転車が存在すれば、自転車を知らない古代人にどのような影響を与えるだろか? そのような思考実験として制作したのが「古墳時代の自転車」である。

補足:作品の消失

本作品は願成寺古墳群美術展2022の野外展示として出展し、願成寺西墳之越古墳群の55号古墳の東側に設置した。山裾を抜ける道路のすぐ脇であり、見晴らしの良い場所であった。素材として用いた自転車のフレームや車輪は磨き上げられており、光を受けて銀色に光って目立っていた。ところが、設置して3日後、美術展の開幕前に作品は平日昼間の僅かな間に忽然と消えて無くなった。その経緯は以下の通り。

2022年4月16日(土)10:00頃
作家が会場に作品を設置。美術展実行委員長と教育委員会学芸員が立ち会う。

2022年4月19日(火)12:30頃
美術展キュレータが現場を通りかかり、当該作品に異常がないことを確認する。

2022年4月19日(火)14:00頃
作家が当該作品の消失に気づく。付近に作品を固定していた金具数点が散乱していた。

2022年4月20日(水)16:00頃
警察による現場検証が行われ、実行委員長より被害届を提出して受理される。

作品が消失した理由は判明していない。金属窃盗が疑われるものの、作品を地面に固定していた金具や、すぐ横の道路の側溝にあるグレーチング(格子状の金属蓋)は残されていたのは釈然としない。計画的な犯行であれば目立たない夜間に行うとすれば、突発的に作品を持ち出したように思える。それは悪戯や出来心だろうか。もしかすると古墳時代に再びタイムスリップしたのかもしれない。

【追記】美術展の会期が終了した時点でも、消失した作品が再び現れることはなかった。設置場所を訪れたところ、古墳を覆う雑草が十数センチに伸びている。その草を掻き分けると作品を固定していた金具が変わらずに存在していた。古墳は文化財であるので、金具を回収して原状復帰したことを報告する。(2022.05.30)

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