蒜山高原で爽快快適サイクリング

11月初旬に岡山県の蒜山高原を訪れた。中国縦貫自動車道を抜けて県道422号線を北上すると、やがて神々しい威容の大山(だいせん)が姿を表す。その手間のなだらかな一帯が蒜山(ひるぜん)高原だ。目的地はその中心地、隈研吾設計の4つの建物で構成されるGREENable HIRUZEN。最新の木造建築群の前に昭和風情あふれる遊園地がある脱力感も素晴らしい。

GREENable HIRUZENのサイクリング・センターは上下反転した藁葺き屋根がユニーク。側面は木とガラスで開放感に溢れ、TREKのマウンテン・バイクがずらりと並べられている。電動アシストや子供用もある。夏にオープンしたこともあって、いずれもピカピカの新車状態。なぜTREK?と尋ねると地元の自転車屋さんの選定とのことで、TREKが協力しているわけではないらしい。

筆者らが借りた電動アシストのマウンテン・バイクPowerfly 5は、一日のレンタル料が7,000円。ヘルメットやグローブ、ワイヤー・ロックなども付属する。サドルの高さを調整し、電動アシストの操作を教わる。案内地図を広げてサイクリング・コースを確認、ルート・ガイドのアプリもインストールすれば準備万端。他に来客がなかったこともあり、スタッフの方から丁寧な説明をいただいた。

かくして薄曇りの明るい青空のもとを走り出す。冷たく凛とした高原の空気が爽やか。サイクリング・コースは一周約30km。前半はアップダウンのある森林を抜け、後半は見晴らしの良い平地が続く。ほぼ全域が自転車専用道路であり、路面も綺麗に整備されている。何より気兼ねなく並走できるので、あれこれ会話が弾むのが楽しい。これは一般道では奪われた自転車本来の姿だと気付かされる。

雄大で美しい景色は堪能したものの、あまりにも快適であったので、少々退屈したのも事実。決められた隔離コースを辿るだけでは、刺激がないからだ。なぜか地図を広げる気になれず、アプリはうまく機能しなかった。しかし、これは高性能なeMTBゆえに、はやる気持ちがカテゴリー・エラーを起こしていたようだ。そう、ここは冒険の地ではないし、道なき野山を掻き分けて走るわけでもない。

一方、子供連れや初心者なら、安全で整ったコースは有難いはずだ。のんびり周辺を見て回れば、素晴らしいスポットに出会えるだろう。この地の自転車は、あくまでライトウェイトな観光手段だ。それゆえに更衣室やシャワー・ルームはなく、WEBサイトには紋切り型の情報だけで、地元の人は自転車に乗らない。ハレからケまで全方位に活躍するのが自転車だから、さらなる展開に期待したい。

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