(株)MINOURAの工場を見学

前回の記事である、(株)CURIO さんへの見学をした、次の日、今度は(株)MINOURAへ見学することができた。MINOURA製の自転車パーツとツールは、筆者(sy)もいくつか使用していて、製品にはいつも満足していた。そして、サイクルトレーナー市場でのMINOURAの位置は、定評のあるものなので、今回の見学はとても気になっていた。

まず、工場を含む本社が、岐阜県、しかも、今自分がいる大垣市の周辺にあるということだったのでびっくりした。そして、工場の内部から事務所まで、いろんな場所を見て回ることができた。その結果、筆者は、何らかの理解できたような感覚、つまり、今自分が使用している物が、「こうやって作られたんだ」という感覚を、皮膚で感じることができた。これについては、後でまた触れたいと思う。

最初は、サイクリングトレーナーを紹介され、我々の中の数人は、実際体験することもできた。筆者自身は、選手でもなければ競技に参加したいわけでもないが、体験者の中には選手の経験を持つ方もいて、このトレーナーの場合、乗った時の感覚がリアルだと、皆さん口を揃えて話されていた。

そこから、工場の中を入っていった。はじめに我々を迎えてくれたのは「二次元レーザー加工機」だった。この機械は、平面上の材料を、レーザーによって決まった形で切り抜いていた。型を一つずつ作らなくても良いので、精度の高い部品を少数でも適切なコストで製造が可能だという。

次に、パイプを曲げたり加工するプレス、それから、パーツを固定し、次の加工を正確に行うための治具などを見て、その製作機械のもつ、造形美に目を奪われた。普段の生活では、到底目にかかれるものではないからである。でも、機械達をずっと見ていくうち、ちょっとずつここが、普段手にしていた物が「生まれた」場所だと、感覚として分かってきた。自分が毎日使っていた自転車パーツは、この場所で、自分の機能を全うする機械と、それを見守る人間の視線と手の動きによって、生まれていたのである。

それから、産業用ロボットアームを使った製造工程、そして筆者が特に興味がある溶接機、また、円通形の部品の精度を図る測定用の機械が続いた。そして、アルミの熱伝導性を利用した「熱の効率的な管理」のための構造物も製造されていて、次々と、新しい試みをされていることが分かった。最後に、パッケージングをする工程まで見て、工場での見学は終わった。工場の全てを見ることはなかったとはいえ、材料の切り抜きから包装まで、一通りの工程を見ることができた。

今回の見学では、筆者個人としても有益な情報を色々と入手できたし、滅多にできない経験をしたと思う。そして何より、「いつも使っている物が、こうやって生まれたんだ」と知ることが、「皮膚感覚で分かる経験」を得たのは、何より大きかった。工場という場所と機能が、主に経済的な原理によって海外へ移転することが、当たり前のようになっている今の時代だからこそ、筆者はこの点に注目したい。

今回、筆者が得た感覚は、自分がMINOURA製の製品を日常で使っていた事実と、住んでいた場所の近くに、それを作る空間があったという、ある意味、縁によって得られた物だと感じている。それによって、普段使っている無機質な「物」をみる自分の視点が、「人間という生き物が関わり、作った物」をみる視点に、少しでも変わることができたのなら、この「価値」は、今後工場という空間を見つめ直すとき、一つの考慮すべき事項になりうるのではないだろうか。

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