Garminなるサイクル・コンピュータ専用機

自転車を気ままに漕ぐのも楽しいが、ロード・レースやロング・ライドでは走行状態を把握し、適切な運動に配慮しなければならない。このために用いる走行センサーと連動するサイクル・コンピュータとして、GarminやPolarといったメーカーは単体で動作する専用機を発売している。一方で、筆者は長らくiPhoneとアプリを使ってきたものの、最近は専用機を使うことが多くなってきた。

まず、これまでアプリを使ってきたのは、日頃使い慣れているiPhoneをライドでも使いたいからだ。あれこれ目的ごとにデバイスを変えるのは面倒だし、混乱する。もちろん、iPhoneは操作性が高く、視認性も優れている。あらゆる情報と操作はiPhoneに集約されていくに違いない。事実、何十万円もするカーナビは、数万円のiPhoneと無償のアプリの足元にも及ばない。恐ろしく使いにくいのだ。

自動車用ですら専用機はダメなのだから、より小さなマーケットである自転車用の専用機には期待できない。iPhoneに比べると一回りも二回りも小さい専用機は、いかにも頼りない雰囲気だし、その画面表示の貧弱さは脱力するのに十分だ。しかも、専用機の価格は数万円だ。かくして、専用機に興味を持つこともなく、iPhoneアプリで快適にライドをしていた。

しかし、iPhoneの欠点は意外なところにあった。正確にはiPhone自体ではなく、iPhoneを自転車に取り付けるホルダーに問題があった。ホルダーは何種類か試したものの、悪路を走行した時の振動で、ホルダーからiPhoneが抜け落ちることが何度かあった。頑丈に取り付けるホルダーでは、iPhoneを取り外そうとして、勢い余ってiPhoneを飛ばすこともあった。当然、iPhoneは壊れる。

さらに、iPhone 7 Plusを常用するようになると、重量的に不安を覚えてきた。サイズも大きいので収まりが悪い。堅牢な装着方法を探る手もあったが、毎年決まって1〜2度はiPhoneを破壊してきたことを考えると、そろそろ心機一転、違う方法を試してみたくなった。そこで昨年末に購入したのが、GarminEdge 820J。専用機に興味がなかったので、その時点での最新機種を単純に選んだ次第。

この820Jは小さくて軽いので、悪路の振動で吹き飛ぶことはなさそう。また、ボタンを押して計測開始、もう一度押して終了、とシンプルに利用できるのも良い。余計なことを考えずに使えるのは、機能が限定される専用機ゆえだ。実際、ライド中はスピードやケイデンスを確認できれば十分。820Jの画面は小さいものの、数値や文字は十分に読み取れる。明るい日差しでも視認性が高いのは流石。

ライド終了時には、GarminやStravaなどに自動的にデータがアップロードされる。これはペアリングしたiPhoneを通じて行われる。また、iPhoneへのメッセージや電話の着信は、820Jの画面にも表示される。さらに、強い衝撃を受けた時には緊急連絡先にメッセージやメールが送られる。これらもiPhone連携機能であり、最初に設定すれば後は「余計なことを考えずに使える」ようになっている。

一方、820Jの最大の欠点は操作性の悪さだ。タッチの反応は良くないし、画面遷移が遅い。せっかくiPhoneと連携するのだから、ナビの目的地設定など各種操作はiPhoneで行いたい。デバイス、iPhoneアプリ、WEBサイトと機能と操作が異なるのも整理して統一して欲しい。ちょっとした衝撃でスクリーンにヒビが入ったのには驚いたが、部品交換ではなく本体交換となり、修理費が高かった。

以上のように欠点はあるものの、全体的には820Jの使い勝手は悪くない。専用機ではあるものの、iPhoneとの連携が印象的だ。iPhoneの周辺機器として、適切にデザインされた好例と言える。一方で、Apple Watchを自転車に取り付けることができれば、専用機ではない新たな可能性が生まれそうだ。かくして、専用機が良いのか汎用機が良いのか、何度も繰り返された議論がさらに続く。

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