Cyclehoopの駐輪デザイン

日本では自転車を駐めるための配慮が欠けている。駐輪場を持たない施設や店舗は論外だが、駐輪場があっても、ママチャリ想定がほとんどだ。つまり、自転車はスタンドで自立すると見なされ、ただ単に空虚な空間があるだけだ。だから、大勢の人が利用しようとして、過密なまでに詰め込まれる。重量級の車体であっても強風で倒れる。不注意に押して見事な将棋倒しも発生する。自転車の修羅場だ。

ところが、先日訪れたロンドンでは、路上に数多くの駐輪スペースが設けられていた。その数は繁華街や商店街であればあるほど多く、周囲を見渡せば必ず何らかの駐輪設備が目に入るくらいだ。それらは金属製の支柱やアーチなので、自転車をもたれかけさせてチェーンやロックで固定する。いわゆる「地球ロック」だ。設備は一定の間隔で並んでいるので、自転車が過密になることもない。

そのロンドンではユニークな駐輪設備もいくつか見かけた。自動車のアウトラインを型取った駐輪設備は、5本のバーの両側に自転車を固定できるので、都合10台の自転車に対応できる。しかも、この駐輪設備が自動車一台分の駐車スペースに収まる。そう、自動車を1台駐める代わりに、自転車なら10台駐められますよ、というアピールだ。これを初めて見た時は思わず感嘆の声を上げてしまった。

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また、滞在先での散歩中に自転車マークが描かれたプランター(植物を育てる箱)が目に入った。しかも、取っ手に自転車が固定されている。その先の店舗を覗くとサイクリング・ウェアの人が一杯。車輪やフレームなどの自転車部品まで見える。そこはサイクル・ショップ兼カフェとして有名な”Look Mum No Hands!“であった。つまり、このプランターは植物を育て、自転車を駐め、店舗へ人を導いたわけだ。

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後に調べたことだが、自動車型設備もプランターも、Cyclehoopなる専門メーカーの製品であった。同社のサイトにあるように、数多くの駐輪設備や格納設備、さらには公共ポンプ(空気入れ)や自転車レーンなども手掛けている。いずれもデザイン性が高く簡潔明瞭であり、どことなくユーモラスで、ウィットに富んでいる。さすが、デザイン都市にしてサイクリング都市であるロンドンならではの企業だろう。

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