シマノの電動アシストSTEPSの実験 (7) STUnlocker編

【注意】本稿では電動アシスト自転車のソフトウェアの設定を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。

これまではシマノの電動アシストSTEPSについてハードウェア面から実験していた。今回は趣向を変えて、そのソフトウェアを探求する。電動アシストはファームウェアと呼ばれるソフトウェアによって動作しており、その設定を変更することが可能だからだ。具体的にはSTUnlockerというアプリを用いる。同様のアプリには他にもeMaxeTuningなどいつくかある。

シマノも純正のE-TUBE PROJECTアプリを無償提供しており、電動ギアや電動アシストの各種ユニットについてファームウェアのアップデートや設定の変更ができる。ただし、これはシマノが適切と認めた範囲や法規制に適合する範囲に限られる。しかし、実際のハードウェアとしては、より広範囲の設定が可能だ。そこでSTUnlockerなどのアプリでは、可能な限り多くの設定ができるようになっている。

STUnlockerには、iOSおよびAndroidでBluetooth接続するモバイル・アプリと、PCでUSBインターフェース(SM-PCE02など)を用いるデスクトップ・アプリとがある。筆者はBluetooth対応のサイクル・コンピュータSC-E8000を使っているので、iOS版を120円で購入した。なお、電動アシスト・ユニットの種類やファームウェアのバージョン、そして後述するライセンスによる違いをマニュアルで確認しておこう。

さて、iPhoneではBluetoothをオンにしてSTUnlockerを起動し、Connectボタンをタップする。次にスイッチ・ユニットの中央ボタンを長押ししてメニューを表示し、Bluetooth LEを選んで、Startを選択する。これですぐにサイクル・コンピュータがiPhoneに接続されるはずだ。STUnlockerは電動アシスト・ユニットの現在の設定を読み出す。設定データが多いのか、これには数秒かかる。

あとは機能ごとの設定画面を開いて操作すれば良い。設定を変更した場合は、下部のUpdateボタンをタップして電動アシスト・ユニットに反映させる。例えば、E-Bike’s Infoでは走行距離やバッテリー状態などを確認し、Assist設定ではモードごとのアシスト比率とトルクを設定することができる。マニュアルには各項目の詳しい説明があるので、参考にすると良いだろう。

通常のiOS版で大半の操作ができるが、プレミアム・ライセンスを€30(税込4,463円)で購入すれば設定可能な項目が増える。例えば、Market Settingsは電動アシスト・ユニットを販売する国や地域の設定で、法規制による最大アシスト速度を設定する。これをUSにすれば最大アシスト速度が32km/hとなり、日本のような特異なアシスト率ではなくなるのだろう。

以上のようにシマノの電動アシスト・ユニットSTEPSはソフトウェア的に設定が変更できることが分かった。iOSでのジェイル・ブレイクやAndroidでのルート化に比べると、あっけないほど手軽だ。ただ、それほど広くない駐車場で試乗したせいか、設定の違いを如実に感じることはできなかった。もちろん、設定を変更した状態で公道を走ることはできない。この点にも注意して欲しい。

なお、押し歩きをアシストするウォーク・モードは有効にできなかった。この点を開発元に問い合わせたところ、このパラメータは設定変更できない(”Unfortunately, walk mode is not changeable.”)との回答だった。しかも、日本版のE8080シリーズと海外版のE8000シリーズとはファームウェアの違いはなく、同じE8000モーターを使っていると言う。釈然としないが、深入りはしないでおこう。

ちなみに、最近の法改正で、日本でもウォーク・モードが認められた。ただし、サドルを斜めにするなどして自転車に乗れない状態でなければならない。これは一体何に情熱を注いでいるのだろう。電動アシスト自体がそうであるように、世界的な基準からかけ離れた法規制に閉口せざるを得ない。技術と意識の進化に対して抜本的な対応ができない日本社会の悪癖がここにも露呈している。

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