電動キックボードで公道を走行

これまで電動キックボード(電動キックスケーター)は、様々な制約のために私道や私有地を走行するしかなかった。ところが最近になってシェアリング事業の実証実験が行われたり、公道走行可能をうたう機種が発売されたりと何やら騒がしい。そこで筆者も公道走行可能な電動キックボードFG-EKR01-BKを購入した。税込価格は43,780円と、ちょっとした自転車よりも安い。

この電動キックボードは、圧縮陳列で有名なドン・キホーテで、3月上旬より発売開始。店頭では当たり前のように陳列されていた。店員に購入を伝えると、すぐに大きなパッケージが渡される。公道走行のためには手続きが必要で、必要な書類は箱の中に入っている、と念を押して強調する。大々的に公道走行可能をアピールしているものの、実際の手続きは購入者に任されているわけだ。

電動キックボードの公道走行条件は、必ずしも明確ではない。インターネット検索したところでは、警察庁交通局の「交通安全のための情報」からリンクされている「いわゆる『電動キックボード』及び『電動スクーター』について」が目安になりそうだ。ただ、この文書は平成14年(西暦2002年)と古く、効力のほどは分からない。ともあれ、内容を要約すると以下のようになる。

電動キックボードの公道走行条件

  • 電動キックボードは原動機付自転車(原付)に該当する。
  • 前照灯、番号灯、方向指示器等の装備が必要。
  • 自動車損害賠償責任保険(自賠責)の加入が必要。
  • 軽自動車税の納付と、交付される標識の取り付けが必要。
  • 原付を運転できる運転免許が必要。
  • 車道を通行し、ヘルメットを着用する。

そこで、標識(ナンバー・プレート)取得のために市役所に出かける。窓口の対応は丁寧ながら、これまでに類似した申請がなかったとのことで、取扱説明書を確認するなど少々時間がかかった。ここでは標識を発行するが、公道走行の可否を判断するものではないと告げられる。また、年額2,000円軽自動車税(種別割)が課せられ、後日納付書が送付されるとの説明がある。

ナンバー・プレートの取得に必要なもの

  • 販売証明書(パッケージに同封されている)
  • 印鑑
  • 身分証明書(運転免許証など)
  • 取扱説明書(説明に使用)
申請書の記入例
(別紙があれば販売証明書の欄は記入不要)

次に自賠責の加入をコンビニエンス・ストアで行う。新型コロナウイルス感染予防のためか、イートイン・コーナーが封鎖されていたので、店頭で立ったままiPhoneでネット事前申し込みを行う。申し込み完了メールが届けば、記載されたバーコードをレジで見せて保険料を支払う。これは現金払いだったので要注意。そして自賠責のステッカーを受け取り、保険証明書をコピー機で印刷する。

自賠責の加入に必要なもの

  • ナンバー・プレートの情報
  • 電動キックボードの車台番号
  • 保険料(1年間7,060円より、現金)
自賠責加入フォームの例

これで申請取得関係は終わったので、自宅に戻ってパッケージから製品を取り出す。ほぼ完成品だが、ハンドルを取り付けることが必要。ブレーキ・レバー、警報機、バックミラーも一緒に取り付ける。説明書にはないが、右のハンドル・バーが逆ネジであることに注意。そしてナンバー・プレートに自賠責のステッカーを貼り、電動キックボードの後部に取り付ければ、公道走行車の完成だ。

さて、実際の走行は軽やかで安定している。モーター音は小さく、路面振動も少なく、乗り心地は良い。ただし、最高速度は19km/hであり、満充電での走行可能距離は20kmと走行性能は低い。このあたりが低価格の所以だろう。耐久性は今後を見守るしかない。充電器は実測で246gと軽く、充電時間は3.5時間なので、移動先に持参して充電することも考えられる。これがUSB PD充電であれば尚良かった。

ところで、警察庁交通局の文書では必要とされている方向指示器が、この電動キックボードにはない。発売元では同等製品を2020年6月に発売したものの、公道走行の保安基準を満たしていないとして販売を停止している。具体的な理由は明らかになっていないが、この製品は後部に方向指示器を備えていた。ともあれ、本製品の取扱説明書では以下のように説明している。

保守部品としてウインカーやストップランプの装着が義務付けられていないため、これらは装備されていません。
ナンバー取得後に公道走行するのは問題ありませんが、交通量の多い道路での走行には十分注意してください。

Electric Kickboard FG-EKR01 シリーズ 取扱説明書(P.2)

公道走行可能とする他の製品でも方向指示器を装備していないことがある。また、日本キックスケーター協会も必要な装備に方向指示器を挙げていない。一方で、道路運送車両の保安基準第62条の2は「原動機付自転車には、方向指示器を備えなければならない」としている。そこで方向指示器を備えたヘルメットCLASSONLIVALL BH60SEを被ることにした。これで問題はないだろうか?

今回の手続きは1時間もあれば完了する。ただし、ナンバー・プレートや自賠責シールなどの実体物を遣り取りをするので、オンラインで済ませられないのは苦痛。法律が時代に追いついていないだけでなく、一元化と正規化がなされていないのも苦痛。しかも最高速度を15km/hに制限してヘルメット不要とする特例など狂気の沙汰。そして電動キックボードは本質的にプリウス・ミサイルなので注意したい。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA