猫と自転車に乗れたなら (10)

チョコレートを食べながら自転車に乗れたなら〜

1月下旬になると多くの人々の関心を集め、市場を賑わすのがチョコレート。そう、もうすぐバレンタインデー。コロナ禍で在宅勤務となり、義理チョコを配る必要もない。また、好きな人にチョコレートを渡すことは、不要不急の要件に、必ずしも該当するわけではないので、是非、自転車に乗って颯爽と届けたらいい。ということで、今回はチョコレートをテーマにしたい。

そもそもこのテーマを選んだのには理由がある。パンづくりのプロの友人が、自転車の車輪をイメージしたベーグルをある企業から依頼されたのだが、炭を使って黒くしたベーグルを車輪に見立てた写真を見たときに、自転車を型どった食品がどれくらいあるのかが気になった。バレンタインデーのシーズンが迫ってきたので、早速、自転車とチョコレートで検索してみた。すると自転車型のチョコレートが結構みつかった。考えてみれば、猫好きには猫型のチョコレートをあげる人が多いわけだから、自転車好きに自転車の形をしたチョコレートをあげるというのは、当たり前の発想かと思う。2年前には、「現役自転車乗りが答える!バレンタインにもらって本当に嬉しいもの♡」という記事もでているし。

それにしても、世界には実にユニークな自転車型チョコレートが多く存在している。個人的に、もらったら嬉しいと思う「自転車に関係する」チョコレートを幾つか紹介していこう。

まずはこちら。

横浜ベイホテル東急の新作「キャド・ド・フルール」(フランス語「花の贈り物」)。”春の野”をイメージして、ガーデニングのプランターを積んだ自転車をチョコレートで再現したというこのチョコレート。旧式の自転車の後輪には、ローズや、ラベンダーなどのカラフルなボンボンショコラが詰まったバスケットが乗っている。自転車好きじゃなくても、思わず「おしゃれ〜!」と喜びそう。

次は、いかにもロードバイカーたちが喜びそうなチョコレート。セットには、ヘルメット、ドリンクボトルや空気入れを型取ったチョコレートが入っている。これはハイルマン(ドイツのメーカー)のイラストがついたパッケージバージョンと、下写真のようなベルギーブランドによるChocolate Biking Setの二つのバージョンがある。同じものが、異なる二つの国で、違うパッケージに仕立てられて売られているのだが、個人的な推測では世界に名だたるベルギーチョコの自転車チョコにハイルマンが独自のパッケージでラップ(OEMかな)をほどこしたのではないだろうか。ハイルマンは、きっと自転車天国ドイツでの需要を見込んで販売展開に乗り出したのだと思う。

ちなみに、ベルギーには他にもいろんな自転車のチョコレートがある。こちらは、自転車のイラストチョコ。パッケージがシンプルでいい。ライダー仲間で、ツーリングの合間の休憩に楽しむのにいいかもしれない。

さて、次は子ども向けチョコレートの紹介。こちらはサイクリングのお供にピッタリ!ちょっと走り疲れしたら、止まってポップチョコレートをペロペロ。エナジーチャージしたら、また走り出そう。お尻のポケットに入れて溶けないように気をつけないとね。

こちらは、“Chocolate Gems With Cycle”と名付けられた商品 。車輪の中に、カラフルなチョコレートが入っていて、車輪を回すと中のチョコもクルクルと動く。食べれば食べるほど、隙間ができ、チョコの動きは大きくなる。少しずつ食べて、車輪を回して、楽しむ。自転車乗りを始めた子どもやビギナーに好まれるに違いない。

チョコレート手作り派には、こちらの自転車のモールドがおすすめ。ミルク、ダーク、ナッツ入りなど、お好きなテイストの自転車型板チョコがDIYで簡単にできる。

最後に2つのユニークなチョコレートファクトリーの紹介。

まず、西アフリカに位置する国、コートジボワールのチョコレートファクトリー “Mon Choco”。オーガニックによるハンドメイドチョコレートを作っているが、ここではカカオ豆を挽くのに自転車を使っている。オーナーのDana Mrouehさんは、環境への影響をできるだけ最小限にすべきと、製造にかかわるエネルギー利用への環境配慮にも気を使う。スタッフが交代で自転車を漕ぐと、挽かれた豆がバケツの中に溜まっていく。世界中で愛されているチョコレートの原料のほとんどはアフリカで生産されているが、近年、成長を続けるカカオ産業は、同時に森林破壊に影響を与えており、ひいては世界的な環境破壊にもつながるとされる。コートジボワールは2034年までに森林をすべて失う危険性があるとまで言われているほど切実だ。だから、せめて食べるチョコレートは人にも自然にも優しいものを選びたい。

トロントのソーシャルベンチャーChocoSolもかなりユニークだ。ChocoSolは、社会や環境をミッションとして、チョコレートバーや飲料用チョコレートの販売を行っている。といっても、一般のチョコレートとは異なる。ここでは、深層メキシコと呼ばれるメキシコ古代の先住民文化から生まれた、健康的でスピリチュアル、暗くて苦い味のする食べ物や飲み物としてのチョコレートを扱っている。漂白されていないパッケージには、メキシコの死者の日にちなんだ頭蓋骨が描かれており、目や歯には自転車のチェーンが使われている。自らをチョコレートの「ペダラー」と呼び、自転車に展示テーブルを載せて街中のファーマーズマーケットに出向き、その場ではチョコレートドリンクを作るブレンダーの動力源として自転車を利用している。販売を通してアメリカの原住民コミュニティと連携しながら、地域に根ざした生態系の再生の支援を目指している。

日本は世界第3位のチョコレート消費国。美味しいチョコレートを食べること以上に、原料となる豆の知識、エネルギーおよび環境問題とチョコレートのかかわり、カカオ豆と伝統文化の関係性にもっと目を向けていくといい。その時、Mon ChocoやChocoSolのように、ペダルを漕ぐだけで、誰でもチョコレート生産に貢献できると感じられるような、チョコレート消費者を巻き込む仕組みができるといい。チョコレートを好きな人は、食べるだけでなく、是非自転車を漕ぐことでも貢献しよう。次回は、トラコ登場予定です〜。

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