新型コロナウイルスと自転車:マスク編

新型コロナウイルス感染症の流行から数ヵ月が経過し、落ち着く気配があるのかないのか分からいまま、鈍痛のような危機感を覚えながら毎日を過ごしている。今後の見通しには諸説あるものの、100年前のスペイン風邪に倣うなら、収束までに何年もかかるだろう。つまり、今後も感染予防に努めなければならない。具体的には身体的距離を保ち、マスクをつけ、手洗いをし、三密を避けることになる。

このうちマスクが悩ましい。特に何もしていなくても息苦しかったり、長時間の使用で痒みや痛みを感じたりするからだ。しかも、マスクや性能や使用感を謳って百花繚乱状態になっており、どれが良いのかさっぱり分からない。購入前に試用できないからだ。そこで、この夏に自転車に乗ることを前提に筆者が使用したマスクや関連商品を紹介したい。個人差はあると思われるが、参考になれば幸いだ。

使い捨て不織布マスク

一般的な使い捨てマスクも、一時期は入手困難で価格が高騰していた。ところが、深センに注文した商品にマスク50枚が同包されていた。国内では布マスク2枚嘲笑の的となっただけでなく、いつまで経っても届かな買った頃だ。中国では無償のオマケになるほどに平常を取り戻していたことになる。もっとも、この手の不織布マスクは吐息の熱がこもりやすいので、春先には既に暑苦しく感じていた。

無料/50枚

100回洗えるクールマスク

寝具メーカー西川が開発したクールマスクで、シンプルで柔らかな感触。そして、小さく畳んで嵩ばらないのが気に入っている。人里離れた道を自転車で走る時はマスクをしていなくても、市街地や店舗に入ることもある。そのような時のために財布に忍ばせるには、このマスクがピッタリ。そのような使い方なので、特徴である100回の洗濯には至っていない。冷感素材なので、息苦しさは少ない。

2,190円/4枚

ポケピタマスク

靴工房 Belle and Sofaが作った布マスク。なぜ靴屋さん?と思えば、靴紐を応用して耳に優しい紐を考案したそうだ。しかも紐の長さを調整できるアイディアが光る。落ち着いた上品な色合いで、手作りらしい柔らかな雰囲気は女性向きかもしれない。UVカットや冷感効果を強くは感じられないものの、付け心地は良好。フィルタを挟み込んで抗ウイルス効果を高める構造は、実際には試していない。

1,650円/2枚

コールドブラック・マスク

ベルギーの自転車ウェア・メーカーBIORACERが作った夏用スポーツ・マスク。素材のコールドブラックは、太陽光を跳ね返して熱を遮断する。この効果は夏用のアーム・カバーなどでも実感していたが、吐息の熱や湿気には及ばないようだ。それでも炎天下のライドには重宝するし、掛け心地も良いので日常的にも使っていた。紐にロゴが目立つのが残念だが、水色のグラデーションは爽やかで好評だった。

1,750円/1枚

洗える布マスク

日本の自転車ウェア・メーカー、パールイズミが作った洗濯できる布マスク。潔いまでに、ただそれだけ。ジャージと同じ速乾性のある生地を使用しているが、スポーツ用ともクール素材とも謳っていない。フィルタを入れる機構はあるが、感染を防ぐものではないと明言する。装飾性は皆無で色も白一色のみ。これだけ商売っ気がないと、かえって実直で良い印象を与える。夏用ではなさそうなので、秋以降に試したい。

1,078円/1枚

UAスポーツマスク

アメリカのスポーツ用品メーカーUnder Armourが作ったスポーツ用マスク。アスリートのためのパフォーマンス・マスクと銘打ち、呼吸がしやすく、 快適なフィットで、スポーツに最適と言う。特に鼻の周りの圧迫感を与えない立体構造に感心する。比較的高価なこともあって、ラグジュアリー感すら漂っている。もっとも自転車で全力疾走すれば、息苦しいことには変わりない。マスクはあくまでマスクなのだから。

3,300円/1枚

冷却フェイスカバー

これは以前に購入していたFreeze Techの夏用フェイスカバーで、顔の下部から首回りを覆って使用する。マスクのように紐で耳が痛くなることがないのが利点。暑苦しい印象を受けるかもしれないが、紫外線を防ぎ、冷感効果もあるので、意外とひんやりとしている。ただ、自転車に乗る時はヘルメットで固定できるが、何もなければずり落ちてくる。そこで後部を輪ゴムで結んで大きさを調整していた。

2,926円/1枚

UVフェイスカバー

パールイズミのフェイスカバーは、ずり落ちないようにゴムの耳掛けがあり、頭周りを数段階のスナップボタンで調整ができる。このために自転車だけでなく、普段の生活でも使いやすい。口元の布は二重になって開いているので、フェイスカバーを外すことなく飲み食いができる。これは便利ではあるものの、他の人が見ると驚かれてしまう。素材が厚手でやや重いが、冷感効果もあり息苦しさはない。

4,640円/1枚

ジェット・コールド

マスクの熱苦しさを少しでも解消しようと試したのが、白元アースの冷却スプレー。ガスのジェット冷気で瞬間冷却すると言う。これをマスクの表面(外側)に噴霧すると、確かに冷たくなって爽快だ。しかし、ものの数分間も持たず、すぐに暑苦しさを感じてしまう。肌には直接噴霧できないので、マスクを外して再スプレーすることになる。これは自転車では面倒であり、実用的ではない。

2,641円/1本

Mozy off

実際に冷却するわけではないが、冷感スプレーはメントールやミントの成分が涼しさを感じさせてくれる。これも大きな期待は禁物で、気休め程度に考えた方が良い。ただ、アロマや香水のように香りを楽しむのは悪くない。筆者のお気に入りはコモライフのレモン・ユーカリ。含有するメンタンジオール(シトリオジオール)は防虫効果があり、眉唾ながらイギリス軍の新型コロナウイルス対策品らしい。

1,507円/1本

(価格はいずれも購入時の送料・税込みの金額)

ところで、東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授は2020年7月16日の参議院予算委員会で訴えている。すなわち、20世紀のスペイン風邪では全員一律にマスクの着用、対人距離の確保、感染経路の追跡を求めた。だが21世紀は遺伝子工学、計測科学、情報科学を用いて精密医療を行うべきだ、と。それでは私たちは今後もマスクを付け続けるのだろうか? それは科学的判断だろうか?

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