猫と自転車に乗れたなら (6)

猫と自転車に乗れたなら〜

今年の夏は、自転車に乗るのも躊躇わせるほどの猛暑だった。
とは言うものの「暑さ寒さも彼岸まで」で、9月下旬になるとさすがに秋めいてきた。
いよいよ自転車乗りの季節到来である。そこで、とある晴天の日曜日、久々にトラコとルンルンのサイクリングに出掛けた。

トラコはぺキュートバッグに入ると、ちょっと得意げ。「わたし、今からお母さんと出掛けるの〜」、と他の猫たちに自慢しているようにも見える。

とはいえ、トラコを背負って自転車に乗ると、「にゃ〜にゃ〜」と鳴きだす。
今日はトラコと私だけで、つれあいの伴走はなしだから、トラコの様子が分からない。
時折、店のウィンドウなどに写った姿で確認するくらい。

前回のサイクリングでは鴨川に行ったが、今回は霊剣新たかな上賀茂神社を目指した。

まずは、定番の鴨川岸辺にて休憩。トラコを降ろしぺキュートを広げると嬉しそう。
すぐに寛ぎはじめた。水分補給の代わりに大好きな“ちゅるる”をあげる。

鴨川に集まっている鴨たちをトラコに見せようと、川近くへ移動してみると、ちょうど近くに鷺がいた。鷺の獲物探しはスローだけど、捕獲の時はクイック。つい鷺の動きに見入ってしまい、しばしトラコを放置。ごめんごめん。

せっかくなので、トラコと鷺のツーショット。

休憩を終えて、鴨川沿いを北上する。
トラコは相変わらず背中で「にゃーにゃー」。
秋晴れとは言え、日が高くなり、結構暑くなってきた。時折、ぺキュートの中が暑くないか自転車を止めてトラコの様子を伺いつつ、上賀茂神社に向かった。

上賀茂神社では第一鳥居前の工事が続いていた。
そのせいで、人も自転車も車も、どこをどお通っていいのか混乱気味。ちょっと危ない。
トラコを背負っているから、余計に道路の状況が気になる。
中でも、駐輪場の看板がないのには困った。
駐車場の近くに停められると思ったら、駐輪は神社の反対側と小さな手書きが案内杭にかけられていた。トラコが疲れたのではと少し心配になったので、神社を参拝するのは諦め、鳥居前で手を合わせ、記念撮影だけして帰ることにした。

ちなみに、神社内は犬の散歩はできないが、バッグなどに入れてならば連れて入っても良いらしい。猫のことは全く書かれていなかった。

さて帰りは堀川通を南下した後、西に行き、自宅近くの新大宮商店街へ。
途中、いくつも猫に関するお店や看板、商品をみつける。
ねこねこパン屋の食パンは看板写真だけの紹介。いつか買ってみたい。
新大宮商店街の街路灯フラッグは猫がバイクに乗っているデザイン。2年前の公募で選ばれたものだそう。

帰宅直前、近所の大徳寺あたりを通ったので、ちらっと寄ることに。
新型コロナウイルスで閑散としていた大徳寺も、秋分の日の連休でそれなりに人がでていた。
秋の特別公開をしている寺もあり、それを目当てに来る人も多い。
大徳寺の駐車場のおじさんが、「自転車でそのまま行って、入ったところに止めていいよ」と親切にガイドしてくれた。自転車で来た人が迷わず駐輪できるというのは、当たり前だけど大事だと思った。

京都は神社仏閣が多く、自動車、バス、タクシーに関しては案内があるが、自転車ツーリングに関しては少し遅れているのかもしれない。動物の入場に関しては、犬の糞尿などに気をつける程度の注意書きをみるくらいで、猫に関しては何も書かれていない。

大徳寺は私の好きなお寺の一つ。複数の寺院があり、意外と広い。せっかくなので、季節拝観中のお寺の前でトラコと記念撮影。

今日は、鴨川、上賀茂神社、新大宮商店街、そして大徳寺界隈をトラコと一緒に廻って楽しんだ。トラコとのサイクリングはいつも何気なく見ている町を違う視点からみるきっかけをくれる。

日頃から、京都市に駐輪場が少ないことに不満を感じていたが、今回はサイクリングで観光した時に、サイクリストへの思いやりの度合いを考え直すきっかけとなった。京都市は、世界トップレベルの自転車共存都市を目指していて、その中に自転車観光も掲げている。自転車と触れ合える環境都市としての取り組みにも意欲を示している。今回のトラコとのお出かけで感じるに、理想にはまだまだ遠い道のり。自転車との共存も動物との共存も、その相手に目や耳を向けない限り、どうしたらいいのかは見えてこない。今日は、トラコを背負って自転車を漕ぎながら、まちづくりとツーリングへの思いをはせた1日でした。

さて、家に帰ったトラコは、満足したのか、横になってすぐにお休み。
今度は、自転車を駐めて、上賀茂神社の境内に入ろうね、トラコ。

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