ケイシー・ナイスタットの自転車レーン

ケイシー・ナイスタットCasey Neistat)は映画監督にしてYouTuber、トレード・マークのサングラスをかけてデジタル・ガジェットを使い倒し、ニューヨークを所狭しと駆け回る悪ガキぶりが印象的。そんな彼の出世作となったのが自転車に乗って自転車レーンを走るビデオ、その名も「Bike Lanes」(2011)。それは当たり前では?と思うと大間違い。早速、その動画を見てみよう。

冒頭でケイシーは自転車レーンを走っていなかったと警官に捕まっている。そんなの無理だよと抗議するものの、50ドルの交通違反キップを切られてしまう。そこでそれならと規則通りに自転車レーンを走り出す。だが、すぐに工事の標識に突っ込んでしまう。そして更にゴミ箱に突っ込む。荷物の山に突っ込む。トラックの荷台に突っ込む。タクシーに突っ込む。仕上げにはパトカーに突っ込む。

猪突猛進とはこのことだ。怪我をしないか心配になるほど豪快に障害物に突っ込み、派手に転倒して転げ回る。なぜなら標識や荷物が自転車レーンに無造作に置かれ、タクシーやパトカーは自転車レーンに停車しているからだ。自転車で自転車レーンを走ればどうなるかを、ケイシーは身を以て見事に見せつけている。そう、自転車で自転車レーンを走ることは不可能なのだ。

ここでの自転車レーンは、車道の端に白線を引いているに過ぎない。せいぜいが青く塗ったり、自転車マークが描かれていたりする程度だ。だから自転車レーンに物を置くことも自動車を駐停車させることも至極簡単。障害物がなかったしても、自動車とは隣り合わせで接触して事故が起こる危険性が高い。これは2011年のニューヨークでのことだが、近年は多少なりともマシになったのだろうか。

ともあれ、白線やマークによる自転車レーンは役に立たないどころか、危険極まりない。だから、縁石や柵によって車道から物理的に分離した自転車道が望まれる。世界的な潮流としても、自転車レーンではなく自動車道の整備が進んでいる。新型コロナウイルス禍でも即席の自転車レーンが作られているが、これも三角コーンなどを用いて簡単であっても物理的な障壁を設けている。

一方で、日本では白線だけの自転車レーンか、それすらない道路も多い。鳴り物入りで作られた最新の国立競技場ですら、その周囲は真っ新な自転車レーンしかないらしい。自転車推奨ルートの整備方針がそうだから、無理もない話だろう。東京五輪は中止になった(よね?)から良かったものの、そうでなければ世界中の人々から冷笑を浴びていたに違いない。日本の社会的後進性を如実に示している。

東京都建設局による自転車推奨ルートの整備方針(2015)より

そこで自転車レーンの危険を訴え、保護された自転車道の整備を求めて行こう。声高に訴えるのも良いが、ケイシーばりに真面目に几帳面に自転車で自転車レーンを走ってはどうだろう? それは隗より始めよと言われそうだが、もともと軟弱な上に未だにが癒えぬ身だ。責任は取れないが、反射神経が鋭い方や身体が屈強な方は適任かもしれない。ヘルメットにプロテクター、そして受身の練習も忘れずに。

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