エイミー・ウォーカーの自転車生活でいこう!

カナダのバンクーバーで暮らすサイクリスト、エイミー・ウォーカーが編集した「自転車生活でいこう!」は、サブタイトルの「自転車が人生を変える50の理由」が示すように、50の観点から33人の自転車好きが自転車を論じたエッセイ集だ。以下のように序文にあたる1章に続いて4部構成でまとめられており、どこから読んでも構わない。各章は数ページと短く、気軽に読むことができる。

1章 自転車がもたらす「魔法の瞬間」

(第1部) 自転車に乗るべき9つの理由

2章 自転車はとにかく楽しい
3章 自転車は最速の交通手段
4章 自転車ではじめる健康的で経済的、自由な人生
5章 アンチエイジング、デザートの楽しみ、最高のセックス
6章 車より自転車環境負荷の少ない社会へ
7章 自転車生活は心豊かなシンプルライフ
8章 自転車に乗れば毎日が旅になる
9章 自転車生活は持続可能な社会への第一歩
10章 自転車は心を解放する

(第2部) 自転車生活を楽しむ6のヒント

11章 自転車専門店の上手な活用法
12章 シティサイクルをもっと楽しむ
13章 自転車用の服の選び方
14章 自転車家族 5つのステージ
15章 内装式変速機のすすめ
16章 自転車にもっと光を
17章 ハンドメイド自転車という美術工芸品
18章 荷台付き自転車カーゴバイクの世界
19章 奇妙な自転車フリークバイク
20章 固定ギア自転車ブームは危険な流行?
21章 折りたたみ自転車は自転車の未来形
22章 快適で速い優れた自転車リカンベント
23章 すべての人が自転車を楽しむために
24章 自転車の可能性を広げる電動アシスト自転車
25章 ショッピングは自転車で
26章 雨の日の自転車の楽しみ

(第3部) 自転車カルチャーの世界

27章 人は移動するために生まれた
28章 広がる自転車カルチャー
29章 思いやりをもって走る
30章 自転車と旅する
31章 自転車と女性解放運動
32章 子どもに伝える自転車カルチャー
33章 非営利の自転車店コレクティブ・バイクショップ
34章 自転車修理が教えてくれるこ
35章 自転車天国シクロビア
36章 バイクパーティ

(第4部) 自転車と暮らし・社会

37章 自転車通勤を支援する企業
38章 自転車の仕事
39章 自転車ビジネスの市場の広がり
40章 自転車が本当の市民権を得る日
41章 自転車推進運動はもう止まらない
42章 自転車推進運動の成功戦略とは?
43章 みんなで走れば怖くない?
44章 子どもの安全・健康・環境問題 3つ同時に解決する
45章 駐車場を土と緑の楽園に
46章 より遠くへ、より早く、より自由に
47章 自転車シェアリングのこれから
48章 自転車が安心して走れる道を求めて
49章 進化する駐輪場
50章 自転車に優しい街では車が”消える”

自転車生活でいこう!」目次

個人的に気になった章だけでも、自転車は禅であり、瞑想である(10章)、自転車を解体して奇妙な形に合体(19章)、1890年代のコルセットの衰退とブルーマーの流行など女性解放との関わり(31章)、 中古自転車の修理や職業訓練と地域コミュニティの運営(33章、34章)、自転車をビジネスの観点から考察(38章、39章)など列挙にいとまない。

もちろん他にも自転車の楽しさ、健康の増進、都市問題の解決、経済的な効果など様々なメリットが的確に取り上げられている。逆に自転車のデメリットに言及されていないのは片手落ちに思える。いずれの章も分量的には少ないので、物足りなく感じるかもしれない。だが、これはスタート・ポイントであり、気になったことを各自が深堀りすれば良いだろう。

原著である「On Bicycle – 50Ways The New Bike Culture Can Change Your Life」は2011年の刊行、日本語翻訳は2012年の出版。時代を感じせる箇所もなくはないが、ほとんどが今日の日本でも通用する内容だろう。むしろ日本では未だに考えられていない事柄も多いことに気付かされる。欧米人らしい妙にポジティブな主張の強さに辟易しつつも、その実直さは羨ましくもある。

この本の根底に流れるのは、自転車は人々の生活をより良くし、世界をより良く変えるとの強い信念だ。一人一人の小さな取り組みが大きな流れとなって世界を変えてゆく。そう、世界は変わるし、変えられる。新型コロナウイルスが世界を変えた今、新しい生活様式として自転車が注目されるのは、偶然ではなく必然だ。それは本書に描かれた10年ほど前の北アメリカでの実践からも感じられる。

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