自転車と放蕩娘 (8) 2人の女性がデザインする自転車エアバッグ

自転車に乗る時は、できるだけ荷物をコンパクトにしたい。街中を走る時は、機能性だけでなくお洒落にも気を配りたい。そんなサイクリストにお勧めなのが、自転車エアバッグHövdingかもしれない。

興味深いのは、このプロジェクトが学生による起業から始まったという点だ。Hövdingは、世界初のサイクリスト用エアバッグとして、南スウェーデンのルンド工科大学の女子学生(Anna Haupt, Terese Alstin)によって考案された。2人は修士論文のテーマとして「次世代のヘルメット」を選び、2005年に研究開発を始める。「目に見えないヘルメット」というコンセプトのもと、マフラーのように首に巻き、衝突直前に内蔵センサーが感知してエアバッグが頭部を保護する製品だ。精度を上げるために、クラッシュテストを重ねて、サイクリストの実際の動きを採取している。事故の瞬間に起きる挙動を記録、解析し、そのデータベース化に成功した。

起業を支えたのは、スウェーデン政府からの助成である。自転車エアバッグのアイデアが高く評価され助成を受けたのを機に、2人はHövdingSweden ABを設立。現在では30人の社員が在籍し、開発と生産からマーケティングと販売まですべてを扱うNASDAQ上場企業へと成長している。スウェーデン南部の都市マルメに、チョコレート工場をリノベーションした会社を構えているという話にも心惹かれる。

Hövding は、2012年にスウェーデンでテスト販売された後、日本では2015年から販売されている。日本プラスト株式会社が最終組立において技術提携するなど、日本との関係は意外と深い。

残念ながら筆者は試したことはないのだが、Critical Cyclingでは2016年10月26日の赤松正行の記事で、Hövdingの装着感が紹介されている。その頃には窮屈に感じられたようだが、最近になってヴァージョンアップしたHövding 3では、BOAダイアルでサイズを調整できるようになったという。さらに、スマートフォンの専用アプリとの連携により、緊急時に電話をかけることができるようになったのが改良点として挙げられる。女性起業家たちの開発精神にあやかって、Hövdingを導入してみてもよさそうだ。

2 comments

  1. 是非Hövdingを購入してレポート追記してください。きっと似合って、颯爽としてそう。

    ともあれヘルメットは必要悪ですね。万一の場合の安全を考えると必要ですが、残る9,999回は面倒で嵩張るし格好良くない。結構最近までRaphaかヘルメットを被らないビジュアルを多用して叩かれていたことを思い出します。

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