ツイード・ラン尾州羽島2019に参加

11月30日に開催されたツイード・ラン尾州羽島2019に参加した。これはツイード、すなわち毛織物の衣服を着て自転車に乗るイベント。2009年にロンドンで始まり、現在では世界各地で開催されている。ツイードの発祥地であるイギリスが自転車王国であったことから発案されたらしい。19世紀の産業革命時代の世俗を偲ぶスチームな紳士淑女の集い、ツイードのコスプレ大会だ。

このクラシカルな自転車イベントに初めて参加するものの、普段はハイテク素材の服ばかりで、ツイードの持ち合わせはない。そこで古着屋さんを漁って、ジャケット、ベスト、パンツ、帽子、マフラー、手袋を買い揃えた。ツイードは耐久性が高いので、古着も数多くあり、価格もこなれている。明るく派手に気狂いピエロ路線を狙ったが、完璧には程遠かったのはご愛敬。

自転車もシャープなエアロ・ロードやマッチョなマウンテン・バイクでは浮いてしまいそう。ドンピシャはオーディナリーセイフティーだろうか、これまたビンテージな自転車は持っていない。そこで現代的ではあるが、大英帝国の自転車としてBromptonに乗ることにした。しかも所有する赤黒ポップな旧型ではなく、知人から借り受けたRAWカラー(無塗装クリア仕上げ)の最新モデルだ。

さて、快晴の当日、会場に着くなり周囲に圧倒されてしまう。ツイードで着飾った人々やクラシカルな自転車で熱気に溢れているからだ。明らかに自転車に乗れないロング・ドレスの女性もいれば、博物館でしか見たことがない年代物の自転車もある。ホット・ドックとコーヒーが振る舞われ、あちらこちらから歓声が聞こえてくる。軽妙な旋律を奏でる楽団に登場して欲しいほどの優雅な雰囲気。

開会式が終わると、20人ほどのグループに分かれて出発。アテンド付きで時速10km前後のペースで、ノンビリと安全に街を巡る。訪れたのは歴史民族資料館/映画資料館浅野鍛冶屋毛織会館/テキスタイル・マテリアル・センター長谷虎紡績本社工場千代菊酒造の5箇所。それぞれ丁寧な説明を受ける。今回の開催地である羽島を含む尾州(尾張藩の領地)は日本一の毛織物産地と、今更ながら知る。

充実した見学もあって随分と予定時間を超過したが、全員がゴールしてアフター・パーティが始まる。ここでは学生ファッション・ショーが行われる。自らデザインしたツイード服を纏ってモデル・ウォーク。これで自転車に乗りそうもない人たちがいた理由が分かった。そして、参加者のファッション・コンテスト。受賞者のほとんどは業界関係者で、なるほど付け焼刃では通用しないセンスと痛感する。

このようにツイード・ランはファッション5割、観光4割、自転車1割のイベントであった。自転車ライドとしては物足りず、羽島の風光明媚なコースが含まれなかったことが惜しまれる。一方で、手段としての自転車、メディアとしての自転車と考えると、許容性の高さを示していたと言える。エクストリームなスポーツだけが自転車ではなく、自転車をダシに何でも好きなことを実装すれば良いわけだ。

なお、日本でのツイード・ランは東京などでも開かれており、中部圏では7回目になるそうだ。今回の参加者は約180人で、運営スタッフを含めれば230人とのこと。ゆったりした雰囲気でのホスピタリティは申し分なく、自転車やヘルメットのレンタルといったサポートも充実していた。一張羅を揃えたことでもあり、パレード的な華やかさもある本拠地ロンドンでのツイード・ランにも参加したくなった。

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