[輪行しませんか?] 輪行でしか行かないルート

筆者は輪行サイクリングを計画する時、何かしら行きたい場所をポイントにしてルートを計画する。初回の記事で触れた、徳山湖周辺での輪行サイクリングを例にして、その手順を紹介したい。

このときは、徳山村を沈めて作られた人造湖である徳山湖とその周辺について知りたいという想いから、計画が始まった。最寄駅である樽見駅をスタート地点に決定、往復するのはつまらないのでゴール地点は琵琶湖付近の長浜市木之本駅にした。ルートを選ぶときは、最短距離ではなく安全を優先する。ストリートビューを参考にしつつ、交通量の少なそうな細い道、もしくは安全に走行できる側道の広い道を選ぶようにする。

徳山湖

こうして完成した輪行でしか行かないルートは、実際に走ってみるととても楽しい。

まず知らない駅を降りて、自転車を漕ぎ出す瞬間がとても好きだ。これから始まる冒険に対するワクワクはいつでも新鮮に感じる。

道中、野生の猿と出くわし、暗く細いトンネルを通る、雰囲気の良い滝を見つけて、普段はしない瞑想に興じてみたりする。後半体力のないところでダラダラと続く坂道に怒りを覚えたりするが、こうした計画外の発見や体験がこの冒険を彩ってくれる。

最後、目的地に到着できると確信した時の安堵感と達成感はその時見た風景も含めて、忘れられないものになる。

© OpenStreetMap contributors

輪行サイクリングはそれ自体が魅力的である。そして、筆者にとっては、今まで続けてきた、ものづくりとの類似性を感じずにはいられないことでもある。余裕を持って計画を立てたつもりが、結局は余裕のない実行になること、ハイライトになる部分は少なく地道な作業の連続であることなど、あげていけばきりがない。

このアナロジーの中に、アブノーマルなサイクリングを続ける理由がある気がするのだ。誰も想像したことのないものを作りたいという思いが、誰も行かないようなルートを進むこととリンクする。

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