[ 輪行しませんか?] 事始め


電車が終点の駅に停車した。私は席から立ち上がる。いつの間にか外に見える風景は、山と山の間に田んぼがあるような、典型的な田舎のものになっていた。今はちょうど田植えの時期らしい、田んぼに水が張られ光っている。

ただ一組乗り合わせていた、おばあちゃんとその孫らしき少女は、あいかわらず、おしゃべりをしていて電車を降りようとしない。まさか乗ったまま折り返してしまうのだろうか?

私は、両手に折りたたみ自転車とカメラの入ったバッグを持ち、電車を降りる。駅前は車のロータリーになっているが、今、車は一台も止まっていない。

ベンチに腰掛け、止まっているワンマン列車を正面に見ながら、買っておいたコンビニのサンドイッチを食べる。しばらくしてサンドイッチを食べ終わったころ、電車は警笛を鳴らして街へ出発してしまった。結局、彼女たちは降りてこなかった。

私は電車を見届けたあと、ゴミ箱に包装を捨て、自転車を組み立て始めた。



「自転車に乗ることは楽しみであり、発見的である。」
それはクリティカル・サイクリング宣言にもある通りである。

だが私はこれに付け加えて「輪行を利用することで、この効力が10倍に強化される」と宣言したい。
誰かが現代人ならスマホを持つべきだと言うがごとく、私は自転車が好きなのに輪行をしないなんてもったいない、と言ってしまいたくなるのだ。

輪行についての概要は、wikipediaで詳しく紹介されているので参照してほしい。全く知らない方のために簡単に説明する。

  • 輪行とは電車や飛行機など、公共交通を用いて自転車を運ぶことである。
  • 自転車を公共交通で運ぶのには、一般的に自転車を手荷物として扱えるようにしなければならない。
  • 例えば、電車を利用する輪行では、折りたたむか分解した(ホイールを外すなどした)自転車を、袋に入れて荷物として運べる状態にし、それを車内に持ち込む。例外を除いて、自転車を引いたまま改札を通ることはできない。

輪行を利用するサイクリング ( = 輪行サイクリング ) の大きな魅力は、「スタートとゴールを自由に設定できること」と「比較的安価かつ気軽に実行できる」ことだ。
元々行きたかった場所をスタート地点とし、更に別に行きたい場所をゴール地点にすることができる。更に更に普段通ることのない道を探索できるおまけ付きだ。その時余計にかかる費用は電車賃だけだし、自転車を持ち込むのも慣れてしまえば5分でできる。

ちなみに、最近筆者は、根尾〜徳山湖〜琵琶湖までを輪行サイクリングした。前々から行きたいと思っていた、この三ヶ所とその周辺を一気に回りたいと思ったからだ。こんなよくばりにも輪行サイクリングは、たったの2,000円で応えてくれる。

まだまだ概念的な話ばかりで、輪行とその魅力について伝えきれてなどいないと思う。今後、連載として、輪行を軸にした地域の紹介や体験談を発信する。これらを通して、サイクリングを10倍楽しむヒントを見つけていただければ、とても嬉しい。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA